桜前線 1【GO】 (ページ46)

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46　灯台下暗しページ46

いつも通りの日常が戻ってきた。早朝に職場に着いて、仕事して、夜に帰宅。そんな生活。帰宅したら神童くんがいる生活はもう戻ってこない。思い出せば、あの時は楽しかったな。精神的な支えもあった。やっぱり一人暮らしの家の夜は寂しい。休日のある日、家のチャイムが鳴った。誰だろう。

「はーい」
「隣に引っ越してきた者です。これ、つまらないものですが...」

なんか見たことある風貌。目が合うと、お互いに驚いた。互いが知り合いだとわかると、途端に取り繕うのをやめて、カジュアルな雰囲気で話し始める。

「あれっ、もしかしてA先輩!?」
「池面くん!」

まさかこんなところで再会するとは思わなかった。彼は大学時代に同じサークルに所属していたイケメン後輩で、芸能人に例えると山Pに似ている。見た目は陽だが、意外と陰っぽいところもある。

「まさか隣の部屋なんてね。すごい偶然」
「いやー、俺もびっくりしました。先輩が隣なら安心だなー」
「立ち話もなんだし、お茶でも飲んでいってよ」

他愛のない話をした。彼は早期選考で内々定が決まり、早速職場の近くへ引っ越してきたという。

「先輩は最近どう？」
「私は社畜してるよ。それに最近、なんか変な夢見てさ」

きっとあれは夢だ。そうに違いない。

「えーっ。絶対仕事のしすぎですって」
「そうかもね。はあ」
「ちなみに、どんな夢なんです？」
「それが、サッカーボールから火が出てきたり、音符が出てきたりするんだよね」
「あー。それはたしかに変な夢だなー」
「しかも、それ結構具体的な夢で。サッカーを管理する組織に立ち向かう世界だったの」

そう言うと、池面くんはさらっと返答した。

「イナズマイレブンGOみたいな世界観っスね」
「イナズマイレブンGOって？」
「そういうタイトルのサッカーアニメです」
「へー」

その時は深く考えずに聞き流した。しかし、きちんと調べていれば良かったと後々後悔することになる。