桜前線 1【GO】 (ページ42)

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42　赤点組ページ42

結果、浜野くんや私、天馬くんは補習に参加することとなった。しかし、天馬くんと私は補習の後でも意地でもサッカーの練習をした。補習が終わる頃にはサッカー部の活動は終わっている。結果、河川敷などの別の場所でサッカーをするしかない。補習のせいで、毎週のヒロトさんとの練習ができなくなってしまったのは残念極まりない。

「先輩、いきます！」
「来い！」

天馬くんはこの数週間で飛躍的に能力を上げた。最初は互角だったものの、今では実力で圧されるようになった。悔しい。先日の試合では化身を顕現することができるようになり、さらに実力の差がひらいた。ある日、練習に加わったのは浜野くんだった。

「サッカーできなくなったら毎日退屈でさ。俺も混ぜてよー」
「浜野先輩！一緒にやりましょう！」

実力者の二人に挟まれ、負けたくないという気持ちが高まる。最初はMFの二人から全然ボールを奪えなくて、ただひたすら彼らの背中を追いかけた。しかし、日頃から彼らのプレーを観察している成果か、彼らの癖や隙が段々とわかってきて、その隙を突くことだけはできた。天馬くんのドリブルの調子が狂った瞬間があって、その隙にボールを得た。彼らから距離を離し、肩で息をする。

「ひゅー、やるじゃん」
「はぁ、はぁ...どんなもんだい！」
「先輩。俺、負けませんよ！」
「ッ、私だってッ」

天馬くんが猪突猛進に、目も止まらぬスピードで向かってくる。恐ろしい程の純粋な青い目が迫ってくる。体の硬直。今ならできる気がする。あの技が。トン、とボールを蹴った。

「ピアニシモ」

ボールは天馬くんの足元の真横を通った。天馬くんはそれをカットしようとするも、絶妙なタイミングですり抜ける。この技の威力は弱い。多くの選手が壁となれば、いつか押さえ込まれてしまうだろう。しかし、隙を見透すことはできる。視える、旋律(タイミング)が。遠くにあるボールはゴールの範囲内で微動だにしなくなった。

「今のって...」