桜前線 1【GO】 (ページ30)

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30　vs 帝国ページ30

「じゃあ、行ってきます」
「いってらっしゃい！応援してるね〜！！」
「はい。見ていてください」

自信のある表情は頼り甲斐を感じさせる。試合をしに行く神童くんを見送り、リビングでしばらく過ごした。そして、とうとう試合開始時刻が近づく。

「よーし、これから準決勝が始まるぞ...」

この試合に神童くんたちが勝てば地区予選の決勝戦。それに勝てば、全国大会進出だ。頑張れ、神童くん。雷門中の人たち。試合が始まり、これからという時にプツンと画面が消えた。

「...あれ？」

テレビをトントンと叩いてみても、戻らない。仕方ないので執事さんに声をかけた。

「停電みたいですね」
「えぇ〜！！」

そういえば、部屋の照明が消えている。気づかなかった。よりにもよってこのタイミングで停電。待つしかないらしい。いつ復旧してもすぐに観れるように、テレビの前で体操座りをしてひたすら待っていた。結局待ったのは1時間弱。ようやく照明が戻り、すぐにテレビを点けた。雷門中の剣城が必殺シュートを打ち、それが決まる瞬間が画面に映った。試合終了のホイッスルが鳴る。

「観たかったのに...」

ガクリと肩を落とす。どうせなら現地へ観戦に行けば良かった。会場近かったみたいだし。とはいえそれは結果論に過ぎない。雷門は一点差で勝ったという。神童くんの帰宅後、夕食の時に今日の出来事を話した。

「＿＿ってことがあってさあ。まさか停電で試合が観れなくなるなんて思ってなかったよ」
「それは災難でしたね」
「今日はどんな試合だったの？」
「帝国学園が相手の試合でした。強さが段違いでしたが、剣城が加入してくれたお陰でアルティメットサンダーを打つことができたんです」
「アルティメットサンダー？」
「必殺タクティクスのことです」
「必殺タクティクス...って？」

そう問いかけると、神童くんは考え込むように数秒黙った。そして、こう提案した。

「よければ明日練習を見にきませんか。実際に見た方がイメージできると思うんです」
「じゃあ、そうさせてもらおうかな」