桜前線 1【GO】 (ページ27)

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27　美少女ではなく美男子ページ27

週末の午後。部屋のカウチに座って神童くんと話していると、来客が訪れた。

「お邪魔します」

現れたのは、二つ括りの髪と整った顔が印象的な美少女。しかし、彼が男子であることは徐々に察した。

「霧野か。足の調子はどうだ」
「ん。まあまあってところかな」

その人は私の姿を見るなり注目した。すかさず神童くんが紹介する。

「佐倉Aさんだ。紹介が遅れたな」
「初めまして。えっと、霧野さん？」
「霧野蘭丸。君はたしか隣のクラスに転校してきた子だろ」

頷く。彼は神童くんの隣に座った。

「ケーキ買ってきたんだ。一緒に食べないか」
「ありがとう。霧野」
「君も好きなものを選んでくれ。左から順に、オペラ、苺ショート、モンブランだ」

彼は3人分のケーキを買ってきていた。私の分も想定して買ってきてくれたらしい。

「貰ってもいいの？」
「もちろん」

爽やかな笑顔でそう返答された。悪い人じゃなさそう。神童くんの友達かな。レディファーストということで、一番初めに選ばせてもらった。何にしようかな。考えた末、王道の苺ショートを貰った。良いタイミングでメイドさんが紅茶を持ってきてくれたので、皆で一度口に含む。会話が再開した。

「佐倉さんが空から落ちてきたところを俺も見ていたんだ。その時は驚いたよ」

霧野くんは私がこの世界に来たところを神童くんとともに目撃していたらしい。そして、会話の内容は徐々に深くなる。私は語った。自分が違う世界から来たこと、そして神童くんとの出会いについて。霧野くんは驚くとともに、納得したような顔をしていた。

「そういうことだったのか。どういう関係なのかずっと気になっていたから、聞けてよかったよ」
「色々落ち着いてから話そうと思っていたんだ。待たせて悪かったな、霧野」
「気にするな」