桜前線 1【GO】 (ページ22)

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22　ホーリーロードのシステムページ22

「神童くん、おかえり！試合見てたよ、初戦突破おめでとう！」
「ありがとうございます」

神童くんは小さく笑った。しかし、どこか元気がない。再び顔を会わせたのはその日の夕食。そこで神童くんは今日の出来事を語った。

「確かに勝ちはしました。でも、それがきっかけでサッカー部がなくなってしまうかもしれないんです」
「どういうこと？」
「今の中学サッカー界が管理されていて、勝敗指示が出ていることは既にお話したと思います」
「うん」
「今回も勝敗指示が出ていて、雷門は負ける筈でした。しかし、雷門はその指示に逆らいました」

食事を止めて、彼は語り続ける。

「逆らったのは俺と、その他の数人です。その他の部員はサッカーを守るために、フィフスセクターの指示に従っています」
「...フィフスセクターに従うと、サッカー部を守れるの？」
「はい。フィフスセクターに従うと、制限はされるものの自由なサッカーができる時もあります。でも、逆らうと、最悪廃部になります」
「え!? 廃部？」

どれだけデカい組織なんだろう、フィフスセクターって。

「...フィフスセクターにはそれだけの権限があるの？」
「はい。全国の学校やサッカー部を管理している組織ですから、大きいです」

悩みの尽きない、複雑そうな表情をしている。

「ホーリーロードは単なる大きな大会ではなく、サッカー界の権力者を決める選挙も兼ねています。反乱分子である雷門を見逃す筈がない。...今度も逆らえばきっと廃部になってしまう、みんなそう思っているんです」

スープを一口飲んだ。しかし、食欲がなさそうな様子で俯く。

「俺は...一体どうしたら...」

事情をあまり深く知らない自分が口出しできる問題ではなさそうだ。どうやったら神童くんの力になれるだろうか、そう考えながらその日を過ごした。