桜前線 1【GO】 (ページ20)

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20　vs 天河原 [1] ページ20

休日が訪れる。神童くんは家を空けていた。メイドさんによると、試合に行ったという。試合の様子はテレビで中継をしているらしいので、観ることにした。地区予選なのに全国中継されるとは余程注目される大会なんだろう。どうもこの世界ではサッカーは熱狂的な人気をもつらしい。

試合が始まり数分が経つと、相手の天河原中が一点を決めそうになった。しかし、神童くんがそれをしっかりと防ぐ。一直線に中央を進んでいくが、なぜか自陣はサポートに回らない。相手も硬直している。どうして神童くんしか動いていないんだろう。神童くんが相手陣地に踏み込んだ途端、天河原中の選手が動き出した。徐々に守りを固めていく。互いに様子を観ているような慎重なプレー、まるで冷戦状態。しかし雷門側が一歩踏み込み、ボールは天馬くんに繋がれた。早速そよ風ステップを使い、堂々と進んでいく。そして、信助くんへ。また天馬くんへ。そして最後に神童くんへ渡り、フォルテシモによるシュートが決まった。

「き、っ、...決まりましたー！！」

実況アナウンサーが明らかに動揺した声で報道している。音声の背景にはザワザワとした声が入り込んでいた。なにか問題が起こったのだろうか。

試合が再開すると、今までの動きが嘘のように天河原の動きが明らかに良くなった。まさか、今までは手を抜いていた？それからは乱暴なプレーが目立つようになり、雷門選手は次々と吹き飛ばされていった。しかし、それを制止する者は誰もいない。審判がいる意味がない。素人の私でもわかる。そんな中、グラウンドに鳥型の何かが登場した。グラウンドの中で光り輝くそれは、明らかに異質な存在だった。

「な、なんと、け.........化身ですッ！！！天河原中隼総ッ！化身を出現させたーッ！！」

あれは化身というのか。現実のサッカーでは起こり得ないことが起きている。化身の真正面に神童くんは立っていた。これから一体なにが起こるんだろう。身を乗り出し、瞬きを最小限にし、食い入るようにテレビの画面を見た。

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