桜前線 1【GO】 (ページ12)

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12　いざ転入ページ12

転入初日はやってきた。新たなクラスメイトから注目が集まる。少し緊張はしたものの、問題なく自己紹介できた。これでも一応中身は社会人だし。

「転入生の佐倉Aです。よろしくお願いします」

朝のHRが終わると、早速1限の国語が始まった。教科書は持ってるけど、どこのページから始まっているのかわからない。キョロキョロと見渡してみるけど、ページ番号がよく見えない。その時、隣から小さく声が聞こえてきた。

「86ページ」

振り向くと、隣の席に座る隠れ目の男の子がこっちを見ていた。休み時間になると、ページを教えてくれた男の子にお礼を伝えた。おかげで授業についていくことができた。

「さっきはありがとう」
「別に。...なあお前、神童ん家に泊まってんだろ」
「え？どうしてそれを...」
「サッカー部では話題になってるぜ、お前のこと。なあ浜野」
「ちゅーか、なんで空から落ちてきたの？」
「え、うーん。そうらしいんだけど、よく覚えてないんだよね」
「不思議なこともあるもんだねー」

隠れ目の男の子がガタンと椅子を音を立てて立ち上がった。

「次、移動教室だから。遅れんなよ」
「あ、うん」

この人、意外と優しいのかもしれない。