桜前線 1【GO】 (ページ2)

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2　ラピュタみたいな出会いページ2

連れて帰っちゃった。警察に届けた方がいいのかな。でも、空から落ちてきたって言っても信じてもらえなさそうだしな。この少年、息はしている。このまま放っておいて、もし息止まっちゃったら私捕まるのかな。いや、保身に走るな。まずはこの子を優先しないと。夜の10時、疲れで朦朧とした意識の中、眠さを堪えて肩を揺さぶった。揺さぶる度に自分の脳も揺れて、そのまま眠ってしまいそうになる。ガムテープを剥がして赤くなった自分の手の甲がありありと視界に映った。

「お〜い、生きてる？」
「...」
「大丈夫ー？生きてるー？」

時計の長針が動いた時、少年はゆっくりと目を開けた。生きてる、この子。彼は起き上がって周囲を見渡した。なんだ、眠っていただけか。深い赤を含む黒い目がぱちりと開いていた。

「ここは...」
「体は大丈夫？痛みとかない？」
「はい。大丈夫です」
「信じられないかもしれないけど、君、空から降ってきたんだよ」
「えっ」
「私も突然のことで混乱してるんだけどさ」

とりあえず自己紹介することにした。

「私は佐倉A。1時間くらい前に君を拾って保護したの。ここは私の家。で、君について教えてくれるかな」

そう問いかけると、少年は頷いた。

「シンドウタクトです。雷門中学校の2年生で、さっきまで家でピアノを弾いていました。段々頭が痛くなってきて、気づけばここにいました」
「そうなんだ。その名前ってどういう字で書くの？」

近くにあった紙とペンを差し出すと、綺麗な字で神童拓人と書いた。シンドウって進藤じゃないのか。変わった苗字だな。

「神童くんか。帰る家はわかる？」
「家は稲妻町にあります」
「稲妻町ね。ちょっと待ってて」

スマホを取り出し、マップアプリを開く。稲妻町と入力して検索にかけた。しかし、出てきた結果でそれらしいものは出てこない。

「稲津町？」
「いえ、稲妻町です。東京にあります」

ここは東京だが、稲妻町なんて町はない。雷門中学校という学校もない。