愛の権利３＿skab

第102話 sk ページ5

佐久間へ

手紙ありがとう。
まさか佐久間から手紙をもらえるなんて思ってなかったからびっくりした。
でもすごく嬉しかったよ。

ちなみに俺は元気です。
佐久間も元気そうで何より。


ラーメン屋さんの話、懐かしいね。
あのラーメン屋さんまだあるのかな。
外出出来るようになったら行ってみない？

指輪もちゃんと大切にしてるよ。
佐久間と照みたいに、俺とめめがもらったのも高そうな気はするけど。
俺は佐久間にもらったあの時から、一生佐久間からもらったものだけをつけていたかった。
それは叶わなかったけど、その気持ちは何も変わらないから、俺にとって大切な指輪は、あの一つだけ。


あとムードとか値段とか気にしてるみたいだから、答え合わせをしておくけど。
全部不正解だよ。
俺は自分が落ち込んだ時に慰めてくれようとした佐久間の気持ちとか、思いきって告白してくれたこととか、一生懸命指輪を選んでプレゼントしてくれたこととか、そういう佐久間の気持ち一つ一つが嬉しかった。
だからムードとかそんなの、俺は気にしたことないよ。
今回の記念日は一緒に過ごせなかったけど、また佐久間の隣にいけるなら、あの時みたいにラーメンの味がしたキスでもしようよ。

最後に。
最近は弱音ばかり吐いちゃったけど、手紙をもらってちょっとだけ気持ちが変われました。
やっぱり俺は、佐久間の気持ちを一番近くで感じられる、佐久間の隣にいたい。
その日が来ることを、諦めたくない。
佐久間も、同じ気持ちでいてくれたらいいな。

阿部亮平より


追伸
そんな風に思わせてくれた、素敵な記念日にしてくれてありがとう。





「…俺だって、諦めたくないよ。」


ゼロどころか、マイナスに突き落とされたような俺達だった。
だから阿部ちゃんはごめんとか、嫌いにならないでとか、自分ばっかりを責めてた。
でもまた、前に進もうと思い始めてくれたことが嬉しくて。

だからさ、何度だってやってやろうよ。
俺はいつだって、阿部ちゃんといる未来が欲しいから。



「ただいまー。」


お、阿部ちゃんに手紙のお礼をLINEしてたら照が帰ってきた。


「おかえり、相棒！」
「…はあ？」


ものすごい顔した照に、思わず笑った。

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