第132話 mm ページ39
目の前の阿部ちゃん、全然ご飯進んでない。
言ってもごめんって謝られるだけな気がするから言わないけど。
事務所が予約したこのレストランは個室で、雰囲気も良い。
まさにデート用って感じ。
ここで飯食って、言われた時間に出て、言われた公園の遊歩道を歩く。
それが今日のプラン。
あと決まってんのは阿部ちゃんからのキスがきっかけでそっちの方向にもってくってことと、亮平って呼ばなきゃいけないんだよね。
呼び慣れなすぎて普通に阿部ちゃんって呼びそう。
気をつけよ。
俺はそんくらい？
阿部ちゃんは酔った振りすんのと、「もっと」ってワードを入れて話さなきゃいけないらしいけど。
あああと、キスする時腕を阿部ちゃんの方へ回さなきゃいけないんだ。
腰とか背中、あとは頭の後ろとかってことだよな。
思い出して良かった。
撮り直しとか言われたらそれこそまずい。
「そろそろ行く？」
全然食べてないくせに腕時計を見て阿部ちゃんはそう言った。
食事を楽しむ気分になれないのはしょうがないけどね。
「ん、そうしよ。」
店を出て、目的地へ向かう。
駅と逆方向だから、段々人が減ってくる。
遊歩道に着いた頃には全然人がいなかった。
ただ歩いていると、背後になんとなくだけど気配を感じた。
多分雑誌社の人達。
今日のこれは思いっきり事務所が噛んでるけど、一応暗黙の了解と言うか、こっちは気付いてない振りするし、向こうも茂みに隠れて撮影のタイミングを狙ってる。
「んー、でもやっぱり今日ので一番気に入ったのはスープかな。」
とりあえず他愛もない会話をする振り。
っていうか阿部ちゃんそれ固形物ほぼ食べれてないからでしょ、って言いたくなるような内容だったけど。
で、そのまましばらく歩いて、その内そっと阿部ちゃんが手を絡めてきた。
世に言う恋人繋ぎ。
それで遂に始まるんだなと察する。
「ねえ蓮。」
「ん？」
少し引き止めるように立ち止まった阿部ちゃんに合わせて俺も止まる。
「あのね、」
「うん。」
「目、瞑ってほしいなーって。」
恥ずかしがるみたいに、けど甘えるように上目遣いでちらっと見られる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 756人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葉子(プロフ) - ゆきのさん» この音声が公開される日はあるのか否か…、ですが、この事務所なら切り貼りしかねないですよねぇ！どうやってこの沼から脱出するのか、誰がその一歩を踏み出すのか、ぜひ見届けていただけたら嬉しいです！ (2021年2月6日 22時) (
レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - かおるさん» この小説で何度目だ！？と突っ込みが来そうな展開で申し訳ありません（汗）相変わらず可哀想なあべさんです…。さくまさん視点更新しますね…！ (2021年2月6日 21時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - みなみさん» 忘れずにいてくださったことに感謝です…！下書きが最近あまり進まないのですが、こんなに長い丁寧なコメントいただけたので、すごく励みになりました！頑張ります！ (2021年2月6日 21時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - みなみさん» ーの助けはあると良いですよね。事務所側にも完全に陥れられている状態なので…。さて、mmさんがどう振る舞うか、iwsk、iwfkがどうなるのかは、さすがに愛の権利４で明かしたいところです！後者二つは最近mmab案件で完全に放置しているも同然な扱いですみません…！最早 (2021年2月6日 21時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - みなみさん» 文明の進化ってある意味厄介なところありますよね、リアルでも。と、思っている機械音痴な私です…！今までのことも譲るのが1万歩だったことに思わず笑ってしまいました(笑)そんなに譲歩してくださるとはある意味お優しい！(笑)確かにこれだけ泥沼化しているのでメンバ (2021年2月6日 21時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葉子
| 作成日時：2021年1月17日 0時
