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そっからは無我夢中

3年になって、クラスが変わった彼女と、なんとか接点作らな思って、彼女の家のピアノ教室に通い始めた

ピアノに興味があったのは事実。だけど彼女は、それすら信じてくれなくて


そんな彼女の態度が変わり始めたのは、俺のピアノを初めて聴いてくれた時から

あの時は、ただただ目の前の楽譜と音に集中してて、ピアノを弾くことが楽しかった

それが彼女に伝わったみたいで、徐々に心を開いてくれるようになった


音楽室を管理する先生とは仲が良くて、放課後に音楽室を使いたいとたのめば、快くオッケーしてくれて、時間があれば彼女と練習

ホンマは、練習以外にも、彼女との距離詰めたいと思って、誘い文句並べてはみたけれど

『最近、ヤスと深谷さんって、仲良いの?』

友達のその言葉が、ストップをかけた


その昔。仲良くしてな女の子が、他の女子に妬まれていじめっぽいことされて……
先生が気付いてくれて大事には至らなかったせど、その子は俺から離れていった

そんな思い、彼女にはさせたくない

細心の注意を、払っていたはずなのに……


バレンタインコンサート2日前

練習を終えて、音楽室の鍵を返し、いつものように階段を降りていたら、嫌な予感がして振り返った

それと同時に、彼女の身体がフワリと宙に舞う

何とか彼女を抱きとめて庇ったのは良いけれど、右手首を痛めてもぉて


泣きそうな顔して、自分が悪いわけやないのに、何度も謝って、病院までついて来てくれて

診察が終わった俺に

「どぉ……だった?」

心配そうに、震える声で聞いてきて


本番。一緒に舞台に立つことは出来ひんけど、ちょっと嬉しかった。

不謹慎やけど、これだけ俺のこと心配してくれてるってことは、少なからず、俺の方に彼女の気持ちが向かい始めてる……と思ったから

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作者名:ちか | 作成日時:2020年2月14日 13時

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