【男主】感触【胡蝶しのぶ】

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「しのぶ？」



名前を呼ばれている。

だけれど、先程のこともあって、Aさんの前に出ることが出来ず、屋敷の柱に隠れてしまう。

……再び顔に熱が舞い戻ってきてしまいそうで。

一体どうしたものかと、腕を組んで息を吐くと。



「居た」

「ひゃ……！」



ふいに耳元で、ゾワゾワとしてしまうような良い声が響いて、おまけに耳に痛みが走る。

……カプリ、と音まで聞こえてしまいそうなくらいに耳を噛まれてしまった。



「ひゃ……って、お前なぁ」



Aさんは、「悪戯のつもりでしたのに……なんだよ、そのズルい反応」と、頭を掻く。

その耳はほんのりと赤く見える。



「あークソ……一本取ってやろうと思ったのに、逆にしてやられたじゃねぇか」



「どうしてくれんだよ」と、私に責任転嫁をする彼。

照れ隠しなのか、後ろからぎゅっと抱き締められて。



「飯、食おう」

「……はい」



ごめんなさい。

やはり、私は。





……貴方を他の方に渡したく、ないです。





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前回のお話で、カナヲが師範と姉さん、どちらもで呼んでいるのは、稽古中もそうでないときも美しくなられて、という意味が込められていたり……？

３章：嫉妬なるもの、→←ー

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