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「あら、Aちゃんじゃないの!久しぶりだね、いらっしゃい」

「……みたらし団子四本、頼む」

「浮かない顔だね……待ってな」



昔から世話になっているこの店は、菓子が上手くて景色もいい。

山中だから人もまばらで、うるさすぎない空間が俺には丁度よかった。

通いつめているせいか、店の主人らに顔が知れていて、俺が来るといつも頼むものを出してくれる。

ただ、いつもは二本で済ませる団子を、今日は四本。



「はいよ。食べ過ぎると流石の鬼狩り様も太るんじゃないのかい?」

「鍛練があるからな。直ぐ消費する」

「鍛練ねぇ……」



婆さんは俺の隣に座って、自分で持ってきた茶を飲んだ。

婆さんっつっても……まだ四十後半くらいだけど。

しばらくして、亭主の方も姿を表して、さらに団子を持ってくる。



「ほらよ、もう店閉めるから、食えや」

「暇だな」

「うるせぇよ」



冗談さえ言えるこの空間が好きだったりする。



こいつらは、鬼狩りの存在を信じている。

何でも、婆さんの婆さんにあたる大婆とやらが、先祖代々、鬼狩りの伝説を話して聞かせているだとか。

本当に信じているのかは知らんが、真実だというていで話ができるのは、俺にとってもすごい気が楽だ。

そのおかげで、何かあればここに来る癖がついてしまった。

……自分でも気づかぬうちに、悩みを抱いているときでさえ。



「で?何があったよ、色男がそんな顔してちゃあ、女が慰めに寄ってくるぞ」



冗談めかしく亭主が言うが、あながち間違いでもない。

……色男かはともかく、寄ってくるというのは事実。



最近は特に感じる。

高い声が喧しいだとか、俺の前だけへこへこしているのが酷く滑稽だとか。

……そういうものなのか、女は。

自分の本当の姿を隠して、猫撫で声で近づいたところで何になる。

嫌いというわけではない……ただ、惨めで、鬱陶しいとは感じる。

……それを見るのが疲れた。

話すのが疲れた、関わるのが疲れた。



「女が全員婆さんだったらいいのによ……」



ボソリと呟くと「まだ婆さんじゃないよ」と平手打ちを食らう。それを受けながら、俺は。

婆さんもだけど……居る、話していて、飽きないやつが。

心地よくて、寧ろ、もっと話したいと……



頭に浮かぶ、凛とした姿。

髪をピシリとまとめて、蝶屋敷を訪ねると厳しい口調が嘘のように、柔らかく笑う。



……何かに、気づいてしまう。





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天霧(プロフ) - うっひょうぅぅぅう!しのぶさん最高ですよ! (2021年11月5日 20時) (レス) id: 29b58b93c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - しのぶちゃんかわいいですよね、、!更新待ってます! (2020年8月12日 22時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃこの作品好みです!更新お願いします!!!これからもがんばってください!! (2020年5月24日 21時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
イツキ - 二人のイチャイチャ楽しみです! (2020年5月10日 12時) (レス) id: a90c8d5aa0 (このIDを非表示/違反報告)
剣華 - いつもニヤニヤしながら見させてもらってます。ほんと好きです!次の更新も楽しみにしてます!がんばってください。 (2020年5月7日 12時) (レス) id: e2d859c4ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たつき | 作成日時:2020年3月30日 7時

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