【男主】感触【胡蝶しのぶ】

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「別に、面食いって訳じゃねぇ」



私は、団子のなくなった串を皿の上に置いた。

すると、Aさんはそれを掴み直して。



「ただ……好きになった女が、綺麗だったってだけだ」



舌を巻き付けて、舐めた。



「しのぶ、白いの残ってる……ちゃんと食えよ」

「……うまく食べられないんですよ」



Aさんの何気ない行動がいちいち恥ずかしくて目線を反らすと、「ほら、そういうところ」と、串を置く。

それは、カラカラと音を立てた。



「しっかりしてるように見えてさ……まぁ、実際しっかりしてるけどよ」



そして、また新しい団子に手をつける。



「不器用で、繊細で……小さなことでも不安になって」



自分が主に欠点だと思っていることを例に挙げられて、体が怯えたようにびくつく。

何を言われるのか怖くて、Aさんを見れず、思わず握りしめてしまう手を見つめていた。



「でも、そういうところが好きなんだろ」



私はハッとして、Aさんを見た。

そして、心臓がドクリと音を立てる。

だって、あまりにも優しい瞳で、私を見ていたものだから……



「お前を……しのぶを好きな理由なんて、いっぱいあるんだ。何も顔だけじゃねぇ」



Aさんは、「まぁ……」と、言葉を続ける。

そして、顔を近づけると、そっと触れるくらいのキスを落とした。



「その顔は……すげぇ好きだな」



今の私の顔と言えば……収拾もつかぬほど、熱を帯びていて。



「すみません……」



疑ってしまって。



「こんな私を……」



好いて下さって……ありがとう。





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