0章:感触なるもの、 ページ1
ー
「ん……」
珍しく、ぐっすりと寝られた気がする。
日溜まりに置かれたようにポカポカと暖かくて、安心さえ感じられて。
このような感覚は久しぶりだ。
起きたばかりで思うように開かない目を擦ると、ふいにクッと腰を引かれる。
「Aさ……ん」
そうして、意図も容易く布団に引き戻されてしまった。
Aさんはさらに私を抱く力を強めると、耳元で「しのぶ……」と、
貴方は、ご自身の声の良さに気付いていないのでしょうか。
……私が、貴方に甘く囁かれる度に身体を震わせてしまうことに。
「しのぶ……今、何時だ…………?」
「……もう昼時ですね」
「そうか……」
昼時、と聞いても、Aさんは起きる素振りを見せない。
それどころか、私の肩に顔を埋めて、再び寝息をたてる。
……心臓が、壊れてしまいそう。
「しのぶ…………腹減った」
「起きたら、何か作りましょうか」
任務時の凛としたAさんとはうってかわって、ふにゃふにゃと眠たそうな彼が、堪らなく愛しい。
ずっと、こうしていられたらいいのに……
「甘いの、食べてぇ……」
「……甘味処に行きますか?」
「馬鹿、そんな痕だらけで外出たら、宇髄か誰かに茶化されるぞ」
痕、と言われて、顔に熱が集まるのを感じた。
Aさんは、耳にそっとキスを落とす。
……この、何気ない日々が、最高の至福。
あの日、何もかもを失った私に、光を与えてくれた。
_____俺が、お前を愛してる……
_____一生、幸せにする……誓うから。
初めて、心から温かいと思えた“感触”。
きっと、ずっと、忘れられない。
今、私は、貴方に出会えて、とても幸せです。
ー
685人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天霧(プロフ) - うっひょうぅぅぅう!しのぶさん最高ですよ! (2021年11月5日 20時) (レス) id: 29b58b93c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - しのぶちゃんかわいいですよね、、!更新待ってます! (2020年8月12日 22時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃこの作品好みです!更新お願いします!!!これからもがんばってください!! (2020年5月24日 21時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
イツキ - 二人のイチャイチャ楽しみです! (2020年5月10日 12時) (レス) id: a90c8d5aa0 (このIDを非表示/違反報告)
剣華 - いつもニヤニヤしながら見させてもらってます。ほんと好きです!次の更新も楽しみにしてます!がんばってください。 (2020年5月7日 12時) (レス) id: e2d859c4ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たつき | 作成日時:2020年3月30日 7時