不道徳な ひと【緑】vol.2

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「Aが来てくれて、本当に良かったよ。俺ひとりだったら、内装とかインテリアとか、こんなお洒落になんなかったもん」


「そっかなぁ？」


「そうだって」


「でも、まぁくん やっぱ凄いよね。まぁくんの考えたメニュー。どれも美味しくて。絶対 人気出ると思う」


「ありがとう。けど、カレーはAの担当だからな」


「ねっ。それなんだけどさ…」



メニューの試作品作ってた時、まぁくんから突然カレーをリクエストされた

『美味いっ。やっぱAのカレーは最高だな』

ペロリと1皿完食して


『これはメニュー決定だな』

そう勝手に決められたけど


「私、やっぱり自信ないんだけど」


「何 言ってんの？お前 3年間あそこで働いて来たんだろ？それに、お前のカレー美味いって言ってくれる人、たくさんいるだろ？」


「えっ？……」

まぁくんの言葉で、真っ先に思い浮かんだのは、大倉先生の顔


「ほらっ。おじさんもおばさんも、真也だってさ？昔からAのカレーは美味しいって、褒めてただろ？」


「あっ……うん」

まぁくんが言ってた、私のカレーを褒めてくれた人って…うちの家族のことか


考えてみれば、私のカレーを食べたことあるのって、家族以外だったら…

まぁくんと、大倉先生だけかも


「だからさ。自信持ってやってみよ」


「………うん、わかった。頑張るっ」



こうして迎えた、オープン初日

客足も上々

まだ、勝手のわからないスタップの人達と助け合いながら、あっという間にきた、閉店時間間際


「いらっしゃいませ〜」

お店に現れたのは


「美菜、錦戸っ。どうしたの？」


「うん？開店祝い」


「中西が、どうしても“一緒に行く”言うて聞かへんからな。早めに仕事終わらせて来たわ」


「ええっ？私？錦戸くんだって、乗り気だったでしょ」


「まぁ…な」


「今日、平日だしさ。2人がまさか来てくれるなんて、思ってもなかったから、すっごく嬉しい。さっ、入って 入って」


閉店後に、ささやかだけど、従業員だけでの打ち上げを予定していて

それなら…と、すぐに帰ろうとする2人を、打ち上げに強制参加させた



「なんか、逆にごめんね？」


「いいって。どうせバイトの子達は、すぐに帰っちゃうし、料理余らせるくらいなら、人数いてくれた方がいいの」


「そうなら、いいけど」


「ねっ。それより アレ…」

少し離れたところで、女性に声をかけられてる
錦戸

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