不道徳な ひと【緑】vol.2

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「Aさん、やねん。俺が、好きなの」


「ウソ…ですよね？」

そんな事、あるわけがない

だって先生は、ずっと私のこと“生徒”としか思ってなかったはず


なのに……

「ウソやないよ。俺 多分、ずっと前から…“沼田さん”って呼んでた時から、好き…やったと思う」


「でも。先生、西崎先生のこと…」


「せやな。俺は、ずっと西崎のことが好きやった。でも、彼女の気持ちが錦戸くんに巻き始めたのを知って、諦めようと思った。
そんな時ら夢に向かって頑張り始めた君のこと、応援してるうちに気になる存在になってった。
でも俺は、ヤスみたいな勇気 なかってん。教師とか生徒とか、そんな理由つけて、自分の気持ちに気付かぬフリして、無理やり忘れようとしてた。

でも、再会して気が付いた。

俺はらあの頃からずっと、Aさんのことが好きやったんや…って。

もう、教師も生徒も関係ない。年の差なんて、気にならへん。

だから俺と、一緒にいてもらえませんか？」



「ホントに、私…なんですか？」


「うん」


「本当に……私でいいんですか？」


「もぉ、だからっ！」

グッと引かれた 右の腕


「Aさんしか、アカンねんて」

倒れ込んだのは、先生の胸で


「一緒に、幸せになろ？」

そう言った先生の鼓動は、私のと同じくらい早くって


「……ふふっ」

おんなじなんだって思ったら、嬉しすぎて ちょっと笑えた



「なに？」


「なんでもない。ねっ、先生？」


「……先生、ちゃうねんけど」


「いいの。学校だから」


「ん〜……何？」


「私もね？先生のこと、好き」


「おん……知ってる」



あの頃の私は、きっと想像もしてなかっただろう。こんな未来が待ってるなんて


ある人が、先生のことを


『不道徳な人』


そう言っていた


ただ、他の人より少し人気があって


西崎先生のことを、一途に想ってただけなのに




そんな先生のことを、好きになった 私

何度も忘れようと思ったけど、結局忘れることなんて出来なくて


“教師と生徒”

その関係に、知らず知らずのうちにとらわれていた



でも、今は違う



「A……」


もう、誰にも彼のことを




「………愛してる」



不道徳 だなんて、呼ばせない









end

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