不道徳な ひと【緑】vol.2

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この1年、殆ど連絡は取ってなかったけれど、そんな事は全く関係なくって、昔話やこの1年間の話に花を咲かせた


「ホンマに、1年間 ありがとうな」


「ん〜？何が？」


「担任、大変やったやろ？普通やったら、大倉 絶対自分からやるなんて言わへんやろ？」


「まぁ…なぁ」


「僕のせいで、負担かけてもぉたよな。ホントごめん」


「最初はさ、めんどくさって思って、引き受けんかったら良かった…って思った時期もあったけど、最終的には、やって良かったって思ってるよ？」


「そっか。なら、良かった。そういえば、錦戸くん 先生目指すんやってな」


「そぉなんよ。ビックリやろ？」


「ふふっ。でもええやん。ちょい人見知りなとこあるけど、賢い子やったし、案外 先生むいてるかもな」


「せやな。うちの高校で働きたいんやって」


「それは、やっぱ……西崎がおるから、とか？」


「そう。ホンマにあの一直線な想いには、完敗やわ」


「あっ。あと、沼田さんは…コックさん、やったっけ？」


「コックさんて……まぁ、そおやな。ゆくゆくは自分の店 持ちたいって、急に言いだして」


「うん」


「あの子のカレーな？めっちゃ美味かってん。今でもあの味 覚えてる。他の調理実習も、丁寧にこなしてて。あの子の料理って、優しい味すんねんっ」


「へぇ〜」


「だから、きっと上手くいくと思う」


「そっか…もう、会わへんの？」


「えっ？」


「沼田さん。もう、会わへんの？」


「……うん」


「何で？」


「彼氏、おんねん。あの子」


「マジでっ？」


「おん。マジで」


「でもっ、沼田さんって……」


「“大倉先生のこと、好きでした”って言われた」


「………でした？」


「そう、“でした”。やっぱさ、同年代のが話 合うし、一緒におんには、俺みたいに年が離れた奴より、年が近い子の方がええんよ」


「大倉。それってさぁ……もしかして、沼田さんのこと……」


「……ちゃうよ。それは、ない」


「そうなん？」


「そぉやって。もう会うこともないやろうし…」


「………」


「彼女は、たくさんいる卒業生のうちのひとり。学校に遊びに来たら、会えるかも知らんけど、俺から会いにいく事はないやろな」



そう、もうきっと 彼女と会う事は、ない

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