不道徳な ひと【緑】vol.2

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まぁくんに着替えてこいと言われて、お店の2階へ

大倉先生が、ズンズン先を歩いて行くから、慌てて追いかけたけど、一足早く安田先生が使っていた控室に入ってしまった

「……はぁ」

短いため息をついて、美菜の部屋へ


安田先生のお友達の美容師さんが、色々話しかけてくれるんだけど、適当に相槌を打って、殆どうわの空

どうしても、さっきの先生の態度が気になって、声をかけようとしたけど、話しかけるなオーラが凄くって。結局声を掛けることは出来なかった


「何か心配事でも、あるんですか？」


「まぁ……そうですね」


「そういえば、美菜さんから、伝言があるんです」


「美菜から？」


「はい。“今はあの頃とは違う。大丈夫だから、ちゃんと想い伝えてきて”だそうです」


「そう、ですか。ありがとうございます」


「よしっ、出来上がり。パーティー楽しんできて下さいね」


そうだよ。今は昔とは違う

あの頃伝えられなかった想い

もし、叶わなかったとしても、ちゃんと伝えたい



そんな願いを込めて、ドアノブを引くと

「「あっ………」」

大倉先生と鉢合わせ


「えっ……と」

学校では、殆ど普段着みたいな格好で、卒業式や入学式の時は、落ち着いた色味のスーツで

確かに、それはそれでカッコよかったけれど

今日の先生は、雑誌の中から出てきたモデルさんみたい


「うん？どした？」


「いえ、なんでもない、です」


「そう？じゃあ……はい」

差し出された右手


「そんなに たっかいヒールの靴、普段履かへんやろ？階段、危ないから」

にっこり微笑まれて


「可愛らしいお姫さまを、エスコートさせていただきます」

そう言われたら


「お…願いします」

断る事なんかできなくて、先生の手の上に、自分の手を重ねた


フワフワと、浮かれた気分で入ったパーティー会場


「ちょっと、ヤスんとこ行ってくるわ」

スッと離された手を、名残惜しく思いながら、私も美菜のところへ

さすが主役さん。色々な人に話しかけられてて、多くを話せる時間もなく

「ごめんね。また連絡するから」

慌ただしく去っていった美菜


ひとり取り残された形になった、私



大倉先生といえば、既に女の人達に囲まれていた

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