不道徳な ひと【緑】vol.2

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「何とか形になったな」


「そうだね。でも大倉先生いてくれて良かったです」


「そぉ？」


「はい。先生 何気に大活躍でしたから」


「何気に て……」


「あはっ、すみません」

試行錯誤して、やっと完成したメニュー

当日は、3人でも回せそうやけど、念のためにと、佐久間さんの知り合いが2人、助っ人に来てくれる。今日 その打ち合わせが終わって、後は当日を待つのみ


「大倉さん、ちょっといいですか？」


「はい」

佐久間さんに呼ばれて、勿論 料理の話かと思っていたら


「大倉さんって…Aの事、どう思ってますか？」

予期せぬ質問に戸惑った


「もしかして、狙ってます？」

その目が、挑発的に見えたから


「……だったら、何ですか？」

こちらも喧嘩ごしになる


「いや、どうなのかな？と思って」


「……もしかして、佐久間さんも」


「Aの事は、昔から知ってますし、仕事のパートナーとしても最高です


このまま、公私共にパートナーになってくれたら…と思っています」


「…………っ」


「このパーティーが終わったら、一度ちゃんと話してみようと思ってます」

突然の宣戦布告とも言える告白に、言葉も出ないでいると


「あれっ？2人とも居残りですか？何か問題があったとか？」

着替えを終えてやって来た彼女


「いや、大丈夫。ちょっとだけ確認」


「そう……」


「本当に大丈夫だって。それより、今日 中西さんと飯なんだろ？」


「うんっ。あっ、大倉先生も安田先生とご飯なんですよね？」


「あぁ…うん」


「早めに美菜帰らせますって、安田先生に伝えといて下さい」


「うん」


「じゃっ」

その後を追うように、佐久間さんも

「俺も、お疲れ様でした〜」

何事もなかったように、帰っていった



「ヤス〜……」


「はいはい、何よ」


「俺、やっぱ無理やわ。自信ないもん」


「何が？」


「………沼田さんのこと？」


「うん……。やって、佐久間さんに宣戦布告されたし」


「んで？“俺なんて敵わへん”っ拗ねてんの？」


「べっ、つに、拗ねてへんけど…さ？」


「……大倉、それでさ？後悔せぇへんの？」


「ぅん？」


「このまま何もせんと、2人がうまくいくの、指くわえて見てるん？」


「………それは」


「大丈夫。大倉なら 大丈夫やって」


「そんなん、わからんやんか」


「もぉっ！そんなウダウダ考えてたら、先越されてまうよっ！」



ヤスに背中押されて、やっと重い腰を上げる気になった

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