不道徳な ひと【緑】vol.2

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久しぶりに見た先生のは、あったかくて 優しくて、ドキドキした


まぁくんが、一通り料理の基本を大倉先生に指示していく

それをそつなくこなしていく先生


普段 料理をやってるんだってわかる動き

誰か、食べさせてあげる人がいるのかな？

…って、私 何考えてるんだろう



「A、手 止まってる」


「あっ、ごめん」

まぁくんに言われて、慌てて手を動かした


大倉先生の動きは無駄がなくて、まぁくんも認めてくれたみたい

「先生、よろしくお願いします」

来週の土曜日から、先生と過ごす時間。少し楽しみだな…って思ってたら


「その“先生”って、やめてくれへんかな」

って言われて


「………大倉、さん？」

なんて呼んでみたけど、やっぱり無理っ！

たった1回、苗字で呼んだだけなのに、心臓バクバク

そんな私に追い打ちをかける様に


『Aさん』

って呼ばれて、息が止まった


「また、土曜日に、よろしくお願いします」


「こちらこそっ、よろしくお願いします」

急展開すぎて、ついていかない頭。ボーッと先生の背中 見送ってると


「……ぃたっ」

コツンと落ちてきたゲンコツ


「何 ボーッとしてんの？」


「えっ？あぁ、うん」


「大倉さんと、どういう関係なの？」


「どういうって…先生、だけど？」


「好きだった…とか？」


「……っ、なっ、何でっ？」


「お前、昔からほんっとわかりやすいよな」


「んなっ」


「今は？とうなのよ」


「どうって。5年ぶりだよ？そんなん、わかんないしっ。それに、きっと先生には素敵な彼女がいるよ」


「ふ〜ん。まっ、俺には関係ないけど」


忘れたことなんて、一度もなかった

でも、それって

好き……だって事に、なるのかな？



「もしもし？美菜？」


『うん、どした？』


「今日ね？お店に大倉先生が来たの」


『そっ、そうなんだっ』


「美菜、知ってたでしょ？」


『えっ…と』


「安田先生にドタキャンされたって、大倉先生 言ってたよ」


『あぁ…うん』


「やっぱり〜」


『ごめん。で、どうだった？』


「うん。久しぶりすぎて、よくわかんない」


『そっか…』


「でも……苦しくなった」



こんな気持ち、久しぶりたった


先生の笑顔見て、胸がキューッて痛くなって



あの数時間で 確実に、私は5年前のあの想いを、思い出していた

　

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