不道徳な ひと【緑】vol.2

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卒業式が終わって、3月末には全員の進学先が決まり、やっと担任としての肩の荷が降りた

そして、すぐにやって来た 4月。新学期


今年度は担任を外れ、選択科目担当の元サヤに戻ったのだけれど、少し物足りない気もする

ほぼ残業もなくなり、早めに帰宅すると、部屋のドアの前 座り込んでいる人影を発見


何っ？誰っ？？

「……あの」

声をかけると


「…ぃしょ」

立ち上がったのは、派手なTシャツにジーパンの


「ヤスッ⁈どないしたん？」


「へへっ、来ちゃったっ」


「いやいや、来ちゃったって…」

女子かっ⁈俺の彼女かっ⁈


「何なん、急に。連絡くれたら良かったんに…」


「ビックリさせたくって…」

……って、こいつ ホンマに何なん？


「とりあえず、中入る？」


「おんっ、お邪魔しま〜す」


「はい、どーぞ」


「はぁ〜、1年前と変わらへんなぁ」


「まぁな。んで、今日はどないしたん？そんなでっかい荷物持って」


「あぁ……なぁ大倉、今日 泊めて？」


「……はいっ？」


「やって〜。僕ん家 荷物届くん明日で、何もないねんもん。やから、なっ？お願いっ」


「んっ？僕ん家って、お前 今 実家よな？」


「実は、戻ってきてん、こっちに」


「えっ？」


「だからぁ。またこの街で、お世話になります」


「……えぇっ？俺 聞いてへんしっ」


「言うてないからなぁ」


「でも、なんでそんな急に戻ってくる事にしたん？」


「そ……れは…」


「それは？」


「心配なんやもん」


「何が？」


「……高校卒業したら、大倉おらへんやろ？短大は…女子ばっかやからええとして、通学中とか、サークルの集まりとか、男子との接点が生まれてくるやん？」


「……中西さんか」


「せやでっ」


「お前さぁ……前々から思っててんけど、過保護すぎやぞ」


「そう？」


「中西さん、しっかりしてるし、男にチヤホヤされても、大丈夫やろ」


「それは、そうなんやけど……僕が、離れたなかったの。1年間 離れてみて、やっぱ側におりたいって思ってん」


「ヤスのが、よっぽど中西さんより子どもやな」


「……せやねん。せやから大人とか、子どもとか、教え子とか、関係ないねんな」

へへっと、恥ずかしそうに笑うヤスは



とても、幸せそうだった

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