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「ここ…か」
電車を乗り継ぎ、降りた駅から歩いて10分
駅前の喧騒から、少し離れたとこに建つその店は、2人が好みそうな可愛らしい外観で、男ひとりで入るには、少々勇気がいる感じ
ちらっと覗いた店内は、ランチタイムのピーグが過ぎたのか、お客さんもまばら
入るなら、今しかないと 思い切ってドアを開けた
「いらっしゃいませ〜」
そんな声と共に香るスパイスの匂い。一気に腹の虫が騒ぎ出した
「お一人様ですか?」
「はい」
「では、こちらのお席 どうぞ」
案内されたのは、店の1番奥
「ご注文 お決まりですか?」
「えっと、カレーのランチを…」
「すみません、少々お待ち頂けますか?」
申し訳なさそうに、厨房に入っていった店員さん。再び戻って来て
「カレーランチ、うちの人気メニューで、いつもこの時間は売り切れなんですけど、今日はまだ大丈夫だそうです」
「へぇ、そんな人気なんですか?」
「はい。オーナーも惚れ込む味で、本当に美味しいんです」
「それは楽しみです」
「はい、すぐお持ちします」
お腹もええ感じに減ってきて、暫く外を眺めながら時間を潰していると
「お待たせ致しました、カレーランチでございます」
目の前のカレーの香りが、どこか懐かしく感じられて
「ありがとう」
スプーンを手に取り
「いただきます」
ひとすくいして口に運ぶと
「…………っ!」
昔の記憶が、呼び起こされた
家庭科室で食べた、彼女が作ったカレー
『美味しいなんて自信、ないですよ?』
そう俯く彼女の姿が、鮮明に思い出された
ま……さかな
なんの特別なもん入れてへん言うてたし、似たような味出せる人、プロならおるやろう」
もういちど、ちゃんと味を確かめたくて、スプーンを動かすと、それが手から滑り落ちて、音を立てた
拾い上げようとした時
「お客様、新しい物 お持ち致しますね」
声だけでは、気付かなかった
一瞬動きが止まったその人が、顔を上げた時
「大……倉センセ?」
彼女の唇が、そう動いた時
「沼田……さん?」
俺はやっと、彼女が“彼女”であると認識した
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ちか(プロフ) - こあさん» こあさん、コメありがとうございます。少し前に完結したお話ですが、読んで頂けて嬉しいです。他作品も読んで頂いてるなんて…本当に嬉しい限り。更新頻度が格段に落ちているので、こあさんに追いつかれちゃうかも^^;これからもお付き合い下さいね☆ (2020年3月23日 9時) (レス) id: f6bee9926e (このIDを非表示/違反報告)
こあ(プロフ) - 本当にちょっとずつ、ちょっとずつ読みました!なんだかんだ想いを抱え続ける二人にやきもきしつつ…立派な大人になって(ノд<)感慨深いです。他の作品もちょっとずつ読んでます。更新ありがとうございます! (2020年3月23日 2時) (レス) id: 2691bf805d (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - みけねこさん» みけねこさん、こちらこそ最後までありがとうございました。青さんからだと、約9ヶ月。ホントお待たせ致しました(^^;みけねこさんの心休まる場になれているのならば、嬉しいです(≧∇≦)今後とも、よろしくお願いします☆ (2019年10月8日 21時) (レス) id: 5932badb58 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 5050さん» 5050さん、初めまして^ ^このお話、好きと言って頂けて嬉しいです。実は、続き…とは言えませんが、3組のその後を少しだけUPするつもりでした。でも、色々あって無理だったぁ。2人のその後は5050さんにお任せ致します(^o^)最後までありがとうございました☆ (2019年10月8日 21時) (レス) id: 5932badb58 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ(プロフ) - 完結まで、ありがとうございました。このシリーズ楽しくて、更新されるのが楽しみでした。本当にいろいろな事がありすぎて困惑してますが、お話読ませてもらって心落ち着かせてます。次のお話も楽しみにしてます。 (2019年10月8日 2時) (レス) id: 5ac0d2c424 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちか | 作成日時:2019年8月1日 9時