第8話−白沢 麻友− ページ10
え....?目が赤く....って...
「何言ってんn.....っ!!くっ!!」
──ズキン!
その痛みと共に一瞬で視界が真っ赤に染まったような幻覚が訪れた。
......なに...これ.....
しん....ぞ.....うが....、爆発....しそう.......な...
あかりと璃埜が必死に私の所へ来ようとしているのがゆっくりとスローモーションのように見えた。
「.........っは!!!」
だけど私のところへ駆けつけてきた2人の後ろには、紅く光る瞳のあのバケモノが路地裏の細い道幅を塞ぐかのようにこちらへと近づいて来ていた。
......やばい..このままだと....、二人とも私みたいに......そんなの......そんなのイヤだっ!!!
「......に..げて..、」
「ん?今なんて?それより早く...、早く一緒に逃げるよ!璃埜、麻友!」
「.....う、うん!」
違う...ダメだ.....私はもう.....
「......にげ...て、うっ...!あかり...ちゃ.....、璃埜..ちゃん...、私は...もう....ダメだから....、」
「はぁ?...何言ってんの?麻友も逃げるよ!ほら、早く!立っt...っ!!!ヤバい....、出口も塞がれた.....。ど、どうしよう....。」
左右どちらからもバケモノがもうすぐそこまで迫って来ていた。あるのは唯一、女子高生の私たちでもジャンプをしたら超えられるような塀だった。
その方法しか逃げれる方法がないと瞬時に判断した
璃埜ちゃんは、
「この塀...、飛び超えれば逃げれるかも。二人とも、もうこれしかない。行くよ!」
「....たて..ないの.....。もうね....わたし.....二人の事が真っ赤に染まってて、よく見えないの....。」
「っ!!その目....。まさか、麻友.....」
「ホントは...私も、....私だって逃げたいよ.....。あかりちゃんと璃埜ちゃんと一緒に....。でもね....う...」
「ダメなんかじゃない!!!」
私の言葉を遮ったあかりちゃんは今まで聞いたことがないくらいの大きな、そして少し震えた声で叫んだ。
「まだ、ダメなんかじゃない!!....言ってたよね?....麻友..、今年はいっぱい遊ぼうって..。.....あたしは....、(グスっ)あたしは麻友と....、3人と....もっと遊びたい....!!!.....のに.....、なんで.....。(グスっ)こんな所で......、麻友.....っ!」
あかりちゃんが初めて言ったそんな言葉に私も璃埜ちゃんも涙が止まらなかった。
迫り来るバケモノ達。
迫り来る2人との最後の時間。
迫り来る死への恐怖。
........もう、もう本当に時間が無い!
せめて2人だけでも...
「....逃げて!」
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作者名:詩雨・yuuhi | 作成日時:2018年8月10日 19時