第7話−白沢 麻友− ページ9
「......ひ、ひぃ!!」
恐怖のあまり身体は小刻みに震え、声を出そうにも声は出ず、口をぱくぱくさせたまま立ち尽くしていた。
すると、そのバケモノは半開きだった赤い目を勢いよく全開に見開き呻き声をあげこちらへ向かって来る。
「.....と、とにかく、逃げるよ!!」
「.........っ!」
璃埜ちゃんのそんな震えた声に従い、私達は訳が分からないまま全力で走った。
_____ズキン....!!
「うっ.........!!」
突如、さっき転んで切った傷口に違和感を感じた。だけどそんなの気にしてはいられない程、私は必死に走った。ただただ、あの得体もしれないバケモノが私達を追いかけて来るのが怖かった。
「.....はァ、.....はァ、はァ......、はァ...。」
どのくらい走ったのか分からないが、とりあえず私達はあの大通からたぶん、結構離れた所にある路地裏に逃げ込んだ。
知らぬ間に小雨の雨が降っていてワイシャツやローファーは少し湿っていた。
「.....はァ、.....はァ....、こ...これから、どうすればいいの…。あ、あのバケモノは....?」
凛埜ちゃんは慌てた様子で問いかけた。
「....それは、今はわからないでしょ。」
「そ...、そうだけど.....。......っは!」
「....ど、どうしたの?何か分かったの...?」
私はなんとか震える声で凛埜ちゃんに尋ねた。
「もしかして....前ニュースで言っていた、日本と米国の会談と何か関係があるのかも...。」
日本とアメリカとの会談...?
そんなのと何が関係あるのさ...。
「あ.....、確かそれって会談の結果で日本は米国に宣誓布告して極秘人工兵器を使用するってやつでしょ…?」
「そう、それ。あの会談が終わってさらに研究が進んでいるって聞いた。」
「じゃ...じゃあ、あのバケモノみたいなのは、それってこと?」
「たぶん.....。」
不意に路地裏から大通りを見るとバケモノはさっきよりも明らかに数が多くなっていた。
私達の存在に気づいた1体のバケモノは赤い目を輝かせこちらへ足を引きづりながら走ってきた。
「...っ!や、やばい!!凛埜、麻友!!逃げるよっ!!」
「...う、うん!」
そして、立ち上がろうとした次の瞬間だった。
_____ズキンッ!!
「........っ!!ぐぁ....、!」
今度は傷口だけでなく全身に痛みがはしった。
「麻友...?大丈夫??」
「う、うん...。だいじょ....うっ...!がはぁ...!」
「.....ま、ゆ...?今、目が赤く....。」
え......?
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作者名:詩雨・yuuhi | 作成日時:2018年8月10日 19時