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第27話ー藤咲あかりー ページ31

ミーンミンミンミンミーン

ミーーーーンミンミンミンミーーン


ミーーーーーーーーンミンミンミンミーーーン


お盆も中盤、蝉の鳴き声は聞けば聞くほど大きくなっていくようで、元々死にかかっている私の耳に容赦なくとどめを刺しに来ている。
遠くの方では陽炎が揺れて道路と空気の境界線を曖昧にしている。

立ってるだけでも汗がダバダバ溢れてくる真夏日の中、私達は歩いている。新潟県を目指して馬鹿重い荷物を持って歩いている。

辺りには車やバイクが放ったらかしになっているが、免許も持っていなく、エンジンのかけ方も知らず、鍵も持っていない私達には到底動かすことなど出来ない。
そして車には当然標準装備してあるエアコンの恩恵も受けることは出来ない。

くそぅ。こうなるんだったらせめて原付の免許くらい取っときゃ良かった。金ないけど。

チッ

「あかり、どうしたの?舌打ちなんかして。」

「あ〜〜〜〜〜、声出てた?」

「がっつりと。」

....やっぱり暑いのは嫌いだ。人間の色んな機能がバグってく気がする。

「まぁ、大丈夫だよ。今の所は。」

「今の所....。少し遠回りになってもいいならコンビニ寄って行く?」

「ん〜...。」

コンビニか...。空調が少し効きすぎているくらいのコンビニか。アイスやジュースなんかも置いてあるコンビニか。

....。

「ん。行こう。」

「じゃあ、行こっか。」

所詮は人間だ。真夏の暑さの中颯爽と現る涼しさに勝てるわけが無い。 吉田兼好だってそう言ってるし。
とはいえ私や璃埜はまだ平気だけど室内飼いの佐助は大丈夫だろうか、と思い後ろを振り返ると佐助は自信ありげな表情で白線の上をスタスタと歩いていた。

そういえば暑さで頭から抜けていたけど“アイツら”はいないよね?
念の為佐助の鈴の中にティッシュを詰めといたけど...。
運良くかは分からないがあのバケモノ達には麻友の時以来危険な目にはあっていない。が、どういうものなのか分からないうちは警戒を怠らない方がいいかもしれない。

考えると不安になって立ち止まってしまう。それに気づいて璃埜も立ち止まる。
でも佐助が私に追いつくとすぐに前を向いて歩き出す。そして私も歩く。

コンビニに着くまで大した話もせず歩き続ける。
ガラスの自動ドアまで来てまた立ち止まる。

....。

「....開かないね。」

「ん。私達で開けるしかないか..。」

普通なら勝手に開いてくれるドアが微動だにしなかったせいで私達は無理矢理ドアを開ける羽目になった。

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作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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作者名:詩雨・yuuhi | 作成日時:2018年8月10日 19時

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