第24話ー藤咲あかりー ページ27
「ん....。あれ....、夜?」
「ん。やっと起きた。おはよー」
「おはよう...。」
いつの間にか寝ていたことに璃埜は少し混乱しながらも早速状況を理解しようと考え事を始めてしまった。私なんか二度寝しようとしたのに。
私の目が覚めてからもう二時間はたった。二度寝しようとしたものの結局寝ずに一人で麻友の家を物色していた。
「あっ...。」
「えっ...どうしたの、あかり?」
突然私が声を出すから璃埜が心配そうに私の顔を覗き込む。
「いや...璃埜が寝てる間色々分かったことがあってさ。ずっと気になってた音あったじゃん?」
「うん。あの鈴みたいな....それが何か分かったの?」
「ん。ちょっと待ってて、連れてくるから。」
「え?連れてくるって.....」
何かを言いかけていた璃埜を無視して音の正体のところへ行く。
ちょうど麻友の部屋の目の前にあるドアを開けて中に入り、そいつを持ち上げる。
「うっ....。君、意外と重いな。」
こいつ普通に重いし、持ち方もよく分からない。
しばらく持ちやすい持ち方を模索して見る。
その間ずっとチリンチリン鳴っていて少しうるさかった。
立ち上がって足で開きっぱなしにしていた二つのドアをを開ける。
「あ、あかり....。それって...」
「うん。これは.....
麻友の飼い猫の佐助。」
.....
「ふふっ。何もったいぶってるのさ。」
「ん〜」
佐助という非常にダサい名前の猫を床におろして私も腰を下ろす。
すると佐助は璃埜の足元に顔をすりつかせて喉を鳴らした。璃埜はいつもの優しそうな笑顔で頭を撫でてあげた。
麻友の部屋を物色している時に麻友が書いた日記を見つけた。日記には色んなことが書いてあった。
引っ越してきて友達が中々出来ないこと、親が家にあまりいなくて寂しい思いをしていること、そして璃埜と私に出会って友達になれたこと。
日記は一冊だけではなく、十冊近くあった。一番最初は引越した日から。
読み進めていくと捨て猫を拾って「世話は全部自分でするから」と言って何とか飼わせて貰ったという話が出てきた。そして鈴のついた茶色の首輪をお小遣いで買ってつけてあげたということも。
鈴のついた猫を30分近く探して諦めようかと思った時にひょっこり麻友の机の下から出てきた時は呆れて声も出なかった。
璃埜にもこの話をして日記を見せた。
璃埜は今は読まないからあかりが持っててと言ってまた猫と遊び始めた。
十冊も持たせるなんて殺す気か、と思った。
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作者名:詩雨・yuuhi | 作成日時:2018年8月10日 19時