第18話ー藤咲あかりー ページ20
ギシッ
ギシッ
ギシッ
私の部屋は二階にあるので階段を登っているのだが、その階段も含めてどこもかしこもボロボロ過ぎて変な音がなっている。そしてどういう訳かたまに響く。
.....ここってこんなにボロかったっけ....?
「あかりの部屋はここで合ってる?11号室。」
「あぁ、うん。そこ。」
璃埜に言われて急いで11号室、つまり私の部屋に行く。
錆びた鍵穴に鍵を入れて回す。
ガチャッ
久しぶりに聞くと懐かしいような気持ちになるが実際はそうでも無いのだろう。
肩に止まったハエを追い払うように思考を押しのけ、ドアを開ける。
少し警戒はしたがなんともなかった。
部屋の中には血も四肢も何もなかった。ただの私の部屋だった。
「じゃあ、私は待ってるからあかりは早く準備してきな。」
「んー」
間の抜けた返事をしながら背負っていた通学用のリュックを下ろす。
タンスから使えそうな服を出してリュックに詰めていく。そして一着だけ残してそれに着替える。
やっと制服以外のものが着れると言うちょっとした喜びはあったが、なんでか二度と着れない気がした。
でも、またいつでも着れるように丁寧にハンガーに掛けておく。
洗面台の方に行って普段使っている日用品もとってくる。
調理台の方に行って食べれそうな食べ物も気休め程度だが持っていく。
全部をリュックに詰めるといつもは教科書を全部机に置きっぱなしにしていたせいで重く感じた。
「準備できたよー」
.......
「璃埜?」
璃埜に声をかけても聞こえてないのか俯いたまんまで顔をあげようとしない。
「璃埜ー?考え事ー?」
「へっ?......あ、あぁ。ごめん考え事してた。」
案の定考え事をしていた璃埜は不思議そうに立ち上がった。
「あかりの部屋番号ってなんで『11』なの?普通は201とか102とかじゃないの?」
「そんなことで悩んでたの?」
「そんなことでって.....。別にいいじゃない?」
全く心配するじゃん....。
「管理人の柏田さんがよく分からなくて取り敢えず一階の一つ目の部屋から1番、2番、って感じにつけただけ。」
「へー」
また何かを考え初めて璃埜は黙り込んでしまった。
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作者名:詩雨・yuuhi | 作成日時:2018年8月10日 19時