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櫻井なんかの
言葉に惑わされず
絶対いい男をみつけて結婚してやる
て、言ってるそばから
夜のオフィスにひとりきり
「よりによって残業って…」
引き受けた私も私だけど
彼女との約束があるからって
普通は帰らないでしょ？
「泊まり決定か…」
名字を上げるなんてロマンチックなんだか気持ち悪いんだかわからないことを言ってた翔もきっちり定時に帰っていた
「あと一踏ん張りだっ」
いつもは言わない独り言も
眠気覚ましのためこのオフィスに鳴り響く
時計の針は11時を指した
人の3倍、いや6倍…の仕事を与えられれば
この時間になるのは仕方のないこと
「もう限界」
なんとか終わらせ消灯され暗い廊下を歩き
医務室へとむかった
「ふぅー…」
学校のベッドとは違い
ふわふわのベッドに寝転べば
簡単に眠りにつける。
『なに？先客」
同じ部署じゃなくとも
同じように残業をして
そのままここで寝る人もいるのね
お疲れ様です。
ふぅー私も早く寝よ
『ちょうどいいわ…
確認だけどあんた女だよね？』
答える間もなく布団を剥ぎ取られ
お腹のあたりに乗られ
気づけば見知らぬ男とキスをしていた。
徐々に侵入してくる手…
久しぶりの人の肌のぬくもり
吸い寄せられる唇
知らず知らず私の手は男のスーツを
一枚一枚剥いでいた
『なんだあんたもその気なんじゃん』
正気に戻れば後悔する
わかっていても止められないのは
久しぶりに胸を打つような
幸福が頭の中に鳴り響いているから
考えるよりも感じちゃってるんだもん。
『うわっ…』
この男、よく見たらイケメンじゃん….
20代前半？
もしかして新入社員？
でもそんな子がこんな大胆なこと…
『困った顔してる笑
…俺は前から知ってるよAさん』
「えっ？」
この男に疑問を持ったってもう遅い
とっくにつながる部分は繋がっちゃってんだもん
あー、やばい気持ちい…
大丈夫だよもしかしたら人事課の人かも
そしたらあった事のない社員のひとりやふたり
…数十人だって覚えたっておかしくない
今はこの久々の気持ちに酔いしれよう
「っん、ぁもう…だめ」
私まだこんな高い声出せたんだ
『はっもう？』
ひかれたってなんだってかまわない
どうせもう会わないんだから。
この時は一回だけでさよならだと思ってた
後であんなに辛い思いをするとも知らずに
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作者名：和智 | 作成日時：2016年1月27日 0時
