1-4.見学開始 ページ4
人の決意とは脆いもので、いとも簡単に砕けてしまう。
時刻は１３時５０分。私は自己嫌悪に苛まれながら、雷門中の正面グラウンドに向かっていた。
もう二度とサッカーに関わらないと決めたのに、どうしても希望を持ってしまう。
＿＿雷門中サッカー部は、あの学校のサッカー部とは違うんじゃないか。
正面グラウンドには、新入生を含めた部活見学希望者がたくさん集まっていた。サッカー名門校なのだから、それも当たり前か。
意外なのは、女子生徒と男子生徒の割合がほぼ同じなことだ。男子生徒が大多数を占めると思っていたがそうでもないらしい。
木の影からぼんやりとグラウンドを眺めていると、オレンジのバンダナを巻いた男性がくるりと振り返ってこちらを見た。慌てて視線を逸らすも、男性は「見学希望者かー？」と声を張る。その声につられて、ベンチから松風くんがひょっこりと顔を出した。私を見つけるや否やぱっと表情を明るくさせ、こちらに駆け寄ってくる。
「Aさん、来てくれたんだ！」
「いや、あの、私……」
松風くんがまん丸の目で私を覗き込む。すごく嬉しそうにしている。
「……やっぱり、ちょっと気になって」
負けた。
完敗である。
松風くんは「そっか！」と満面の笑みを浮かべて私をグラウンドに連れて行く。
グラウンドでは、ユニフォームに身を包んだ部員と見学者が向かい合っていた。
灰色の髪の部員が一歩前に出る。見学者の一部から黄色い声が上がった。
「集まってくれてありがとう。三年の神童拓人だ。今日は俺たちの普段の練習を見てもらう。気になったことや質問があればいつでも聞いてくれて構わない。明日、詳しい活動内容や入部テストについての説明会を行うつもりなので、入部を検討している生徒はそちらにも来てくれると嬉しい」
「以上だ」と言って彼は下がった。彼が話している間、シャッター音が聞こえたのは気のせいだろうか。
見学者はグラウンドの外へ移動し、部員たちの練習を見る。
準備体操と柔軟に始まり、グラウンドの周りを何周か走ってから、パスやドリブル、シュートの基礎練習に入る。内容は至って普通で、どこのサッカー部でもやっていることだ。しかし、部員ひとり一人のレベルがとても高い。やっぱり名門校は伊達じゃない。
基礎練習のあとはペア練習に入った。ボールが飛び交う中、私の目は自然と松風くんと剣城くんのペアに向いていた。
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春間(プロフ) - 名無し40482号さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！ 励みになります。 (2020年10月7日 13時) (
レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し40482号(プロフ) - とても綺麗で読みやすい小説で、感動しました…（ ; ; ）更新楽しみにしてます。 (2020年10月6日 14時) (レス) id: b02fa3353c (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - Ruiさん» ありがとうございます。申し訳ないのですが、占ツクの使い方がよくわかっていないので今回は遠慮させていただきます。コメントありがとうございました！ (2020年8月9日 11時) (レス) id: e235827dac (このIDを非表示/違反報告)
Rui - 初めましてタイトル凄くいい感じ！もしよかったら好きな作品出来るイベントもし参加出来たら嬉しいです勿論CSS付きも可能です。「 あなたの小説読ませて下さい。」です。 (2020年8月9日 0時) (レス) id: 79cb60a812 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - 充滞さん» ありがとう、頑張ります！ (2020年8月7日 19時) (レス) id: e235827dac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春間 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2020年8月5日 11時
