1-19.背に宿る ページ19
サッカー部の名簿に名を連ねてから一週間ほど経った。今日はとうとうユニフォームが渡される日だ。それは即ち自身の背番号と、一軍の二軍のどちらに入るかが同時にわかる日でもある。
高鳴る心臓を押さえながらミーティングルームに向かう。緊張した面持ちの新入部員と二軍メンバー、比較的落ち着いた様子の一軍メンバーが一堂に会していた。
自分のことで頭がいっぱいだったが、既に背番号をもらっているメンバーも卒業した先輩がいる分、背番号が変動する。二軍どころか、背番号をもらえない可能性だって十分にあることに気付き、手が嫌に震えた。
「それじゃあ、名前を呼ぶから呼ばれた生徒は取りに来てくれ」
しばらくして段ボールを二箱抱えた円堂さんがミーティングルームにやってきた。
自然と背筋が伸びる。
「まずは一軍から。＿＿一番、西園信助！」
「はいっ！」
ぴょんと小柄な男子生徒が飛び出す。松風くんと一緒にいるところをよく見かける、隣のクラスの子だ。
それから番号順に名前が呼ばれた。一軍は入部テストの際のメンバーとほぼ変動はないが、一軍の中で背番号が変わったり、二軍だった選手が一軍入りを果たし、祝う声が飛び交った。
次第に番号が大きくなっていく。一軍が何番まであるのかわからないこともあり、私は心臓が誰かに握り潰されているのではないかという緊張の中、なんとか立っていた。すでに新入部員からも数名、一軍入りした選手がいる。
「＿＿１７番、AA！」
「は、はい！
……え？」
周りの視線が私に集まる。
名前を呼ばれ反射的に返事をしたが、これは＿＿一軍入りということでいいのだろうか。唖然としていると、葵ちゃんが背中を押して円堂さんの前まで連れてくれた。
円堂さんはにこやかに私にユニフォームを手渡す。ビニール袋に包まれた、鮮やかな黄色と青のユニフォーム。１７の文字。あの日私が一度着て、洗濯して返したものがクリーニングされてまた私の手の中にある。
震える声で「ありがとうございます」と言うと、円堂さんは歯を見せて笑った。
「Aちゃん、おめでとう！」
「葵ちゃん、ありがとう……！」
堪えていた涙はその後葵ちゃんの言葉で簡単に決壊した。顔に押しつけられるティッシュを甘んじて受け入れていると、松風くんが私に右手を差し出す。
「これからよろしくね、A！」
私は彼の右手をしっかりと握った。
「よろしく、天馬キャプテン……！」
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春間(プロフ) - 名無し40482号さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！ 励みになります。 (2020年10月7日 13時) (
レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し40482号(プロフ) - とても綺麗で読みやすい小説で、感動しました…（ ; ; ）更新楽しみにしてます。 (2020年10月6日 14時) (レス) id: b02fa3353c (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - Ruiさん» ありがとうございます。申し訳ないのですが、占ツクの使い方がよくわかっていないので今回は遠慮させていただきます。コメントありがとうございました！ (2020年8月9日 11時) (レス) id: e235827dac (このIDを非表示/違反報告)
Rui - 初めましてタイトル凄くいい感じ！もしよかったら好きな作品出来るイベントもし参加出来たら嬉しいです勿論CSS付きも可能です。「 あなたの小説読ませて下さい。」です。 (2020年8月9日 0時) (レス) id: 79cb60a812 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - 充滞さん» ありがとう、頑張ります！ (2020年8月7日 19時) (レス) id: e235827dac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春間 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2020年8月5日 11時
