桜前線 2【GO】 (ページ9)

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56　盛大な開幕式ページ9

サッカー部が全国大会に出場することは、全校集会でも発表された。雷門の名誉として、この中学校全体が認識していることがわかる。教師たちは誇り高そうにしていたが、理事長と校長は複雑そうにしていた。

開幕式当日。バスに乗っていると、高速道路から会場が見えてきた。なんだあれは、金色だ。巨大な金閣寺かと思った。豊臣秀吉のような、派手な金ピカ好きがきっと建てたんだろう。車田先輩はガラス窓に顔を押し付ける程に見ていた。天馬くんも注目し、身を乗り出して喜んだ。

「これが本戦会場のロシアンルーレットスタジアムかぁ！」

夜7時、開幕式がスタートした。観客席から雷門中や他校サッカー部の行進を見ていた。規模がデカい。プロジェクションマッピングで巨大な二人の姿が現れる。メッシュ髪のホストと、おじさん。全国大会で行われる選挙の結果、どっちかが聖帝の座につくらしい。今までの話からすると、雷門はおじさんの方の味方だったと思う。会場ではフィフスコールが響く。

「フィフス！フィフス！フィフス！フィフス！」

あまりにも何度もコールされるので洗脳されそうになる。フィフス。フィフス。駄目だ、つい口ずさんでしまう。フィフスセクターって言葉言いにくいから、もうフィフスで統一したらいいのに。そう思っていると、大会委員長のイシドシュウジが出て来た。彼が現聖帝らしい。サッカーを管理する組織のトップを聖帝って言うの、特殊だな。帝とは、まるで一国のトップのようではないか。サッカー管理組織のトップはそんなに偉いのか？

「ここにホーリーロード本戦開幕を宣言する！」

ロシアンルーレットスタジアムとはこの辺りの敷地全体を示していて、5つの会場に分かれている。各チームはランダムに選ばれた会場で試合を行う。最終的に勝ち残った2校が、このアマドミカドスタジアムで決勝を戦う。つまり、もし雷門が勝ち残れば、またこのグラウンドの上に立つということだ。初戦は明日だという。どこかソワソワしている水鳥ちゃんが茜ちゃんに話しかけた。

「とうとう明日か。茜、カメラしっかり準備しとけよ」
「カメラ3台持ってきてる」
「嘘だろ。すげーな」

3台はすごい。撮影ガチ勢だ。

ホーリーロードは男女平等の観点から、女子も試合に参加できるというが、私は明日の試合に出ない。マネージャーとして皆を支えるんだ。