桜前線 2【GO】 (ページ7)

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54　必殺技には必殺技をページ7

相手は大人。しかも、必殺技をバンバン打ってくる。

「ヨネさん、おひけぇなすって」
「任しといてくれよ！皇帝ペンギン2号!!」

何が始まるのかと思えば、口笛を吹いた途端に地面からペンギンが出てきた。みんな当然のように受け止めているけど、地面からペンギンが出てくる光景がおかしいと思うの私だけ？シュートすると、ボールの周りでペンギンが勢いよく飛んでいる。あれって生きてるペンギンだよね。動物愛護法に反するんじゃないか？

強そうなシュートを臨機応変に止める狩屋くん。大活躍だ。私も頑張らないと。背負うことのない試合なので、ポジションに関わらず機会があれば皆が積極的にシュートを打っている。私も今までヒロトさんと練習してきたから、1対1の勝負なら誰にも負けない。手を上げて合図を送り、浜野くんからパスを受け取った。

「ほい！」
「ありがとう！」

前に進むと木暮さんが止めに来たが、ドリブルで抜いた。しかし、再び止めに現れる。

「旋風陣！」

強力な必殺技に為す術もなく止められてしまった。でも、諦めない。彼が他の人に出したパスをたまたまカットできたので、その瞬間に必殺技を繰り出した。今なら死角でシュートを打てる。ベストタイミング。

「ピアニシモ」

キーパーの不意を突き、ゴールを入れることができた。雷門が初得点。シュートを打った後、倉間くんがこちらに向けて片手を出していたのでハイタッチした。

「例の必殺技か。いいじゃないか」
「ありがとう」
「神童、お前からもなんか言ってやれよ」

そう振られた神童くんは柔和な微笑みを浮かべた。

「Aさんなら完成できると思っていました」
「信じてくれてたんだ」
「もちろん。いつも応援しています」

試合は雷門の勝利で終わった。みんなと連携して戦えて楽しかった。また機会があれば参加したいな。夕暮れの中、ヒロトさんに駆け寄った。

「どうでしたか、私の必殺技」
「良いタイミングだったね。シュートコースを見極める力がついて、さらにシュートの精度が高くなっていた。頑張ったね」
「えへへ...」

ヒロトさんに褒められると嬉しい。私にとってヒロトさんは憧れの人だ。あの流星のシュートのように、いつか力強く放ちたい。ヒロトさんは狩屋くんに視線を移した。

「狩屋も良かったよ。でも、ちょっと強引だったかな」
「...」
「じゃあ、そろそろ帰ろうか」
「はい」

ジト目で見返す狩屋くん。帰るってことは、二人は同居してるのかな。