94 現実味を帯びる革命 ページ47
革命の渦は拡大し、フィフスセクターに反旗を翻す学校が増えてきた。天河原中や万能坂中も該当する。そのような学校群に対し、フィフスセクターは少なくとも3校に対して廃校措置を実施したという。廃校とは驚いた。そんな手段が許されるのか。雷門中を廃校にしないのは、フィフスセクターが自由なサッカーの象徴である雷門を公然の場で打ち負かすためだと鬼道監督は分析した。打倒フィフスセクターを掲げ、団結力が高まる雷門。そんな中で、天馬くんだけは意気消沈していた。
「俺、廃校とか...そういうつもりで始めた訳じゃ...」
そう呟くと、突然部室を飛び出していった。葵ちゃんと信助が追いかけて部室を離れようとするも、剣城の一声で足を止めた。部員一同は唖然としていた。革命を始めた天馬くんが、現実を受け止められず、革命の輪から外れることに皆驚いていた。
「天馬が始めた革命なんだド。一体どうして逃げるんだド」
「時間が経てば気持ちが変わるかもしれない。今は自由にさせてやろう」
今日の部活は天馬くんが不在だった。いつも通りの練習をしているけど、皆の動きにはどこか元気がない。そんな中、キャプテンの拓人くんだけは冷静だった。
「皆！しっかりしろ！」
「でもやっぱり、天馬くんの存在は大きいですよね。途中から剣城くんもどこかへ行っちゃいましたし」
「天馬の様子を見にいったんじゃないのか？」
「あいつ、ほっとけって言ってた割には心配なんだな」
「天馬...どうしちゃったんだろ」
晴れない表情をする一同。そんな中、水鳥ちゃんが皆に問いただした。
「誰か天馬と話し合える奴はいねーのか？」
「俺が行く」
立ち上がったのは拓人くん。
「あいつは俺にサッカーへの気持ちを思い出させてくれた。今度は俺の番だ。あいつにしかわからない悩みを抱えているのかもしれない。だから、話を聞いてくる」
彼を止める者は誰もいなかった。部室を出ていく。その姿をみんなとともに見送り、しばらく座って周りの話を聞いていた。でも、途中で立ち上がった。気づけば走っていた。拓人くんの姿が見える。
「たっくん、私も行きたい」
「A」
「天馬くんの気持ちを知りたいの」
そのまま立ち尽くし、互いを見合った。拓人くんは微笑んだ。
「ああ。一緒に行こう」
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年1月19日 13時
