桜前線 2【GO】 (ページ45)

今日:1 hit、昨日:34 hit、合計:3,241 hit

92　vs 幻影学園 [2] ページ45

ハーフタイムになると、私は天城先輩に声をかけた。"幻影学園の香坂さんという人が真帆路さんの件で話したがっている"と正直に伝えた。すると、天城先輩は背を向けた。

「今更話しても、意味ないんだド」
「意味がない？」
「もう終わったことなんだド...」

後ろ向きだ。過去を相当引き摺っているらしい。そんな彼に対して、正面から天城先輩に向き合った。

「いいんですか。いつか後悔しますよ」
「...わかってるド」

そんな時、輝くんが隣に来た。

「天城先輩、僕も途中まで一緒に行きますから。香坂さんの話を聞きに行きましょう」
「影山...」
「天城先輩なら大丈夫です」

輝くんの言葉に後押しされたのか、天城先輩は俯きながら立ち上がった。

「行ってくるド」
「試合が始まるまでには戻ってきてくださいね」

足取りの重い天城先輩を見送った後、輝くんに感謝の言葉を伝えた。

「実は、A先輩と香坂さんが話しているの聞いてたんです。すみません」
「そうだったんだ」
「天城先輩が悩んでいるのは前から知っていました。だから、役に立ちたかったんです」
「そっか。輝くんのひと押しはとても大きかったよ。ありがとう」
「いえ！」

天城先輩はこれから自分の過去を別の視点から知ることになるだろう。過去の事実は変えられないけど、過去の解釈を変えることはできる。解釈が変わることによって、きっと過去の自分が救われるはずだ。