桜前線 2【GO】 (ページ42)

今日:5 hit、昨日:5 hit、合計:3,211 hit

89　今日も今日とてページ42

例のメル友からのメールを眺める。彼との連絡は日常と化している。名前も顔も知らないけど、だからこそ文通は楽しい。

今日病院の庭で、同い年くらいの人とサッカーしたよ! 楽しかった

ふと視線を動かすと、天城先輩が絶好調な様子が見えた。動きにキレと勢いがある。悩みが解決して、気が晴れたのかな。

ゴッドエデンでの特訓やゼロとの試合を経て、以前よりもサッカーがしやすい体になった気がする。自然と実力が上がった。今日も練習時間に倉間くんとボールを奪い合う。

「やるじゃねえか。遠征でだいぶ収穫があったようだな」
「まあね。倉間くんも実力上げてるみたいだけど」
「そりゃあ、負けてられねえだろ。みんなにも、お前にも」

激しいボールの奪い合い。決着がつかないまま、休憩時間が訪れた。

「くそっ、もう少しで奪えたのによー」
「はーっ、はー...」

テクニックのある倉間くんからボールを守るのは至難の技だ。守り切ったけど、結構疲れた。その時、山積みになったタオルを持ち運ぶ葵ちゃんがいた。その山が崩れそうになったので、咄嗟に支えた。

「危なかったね」
「わっ。A先輩ありがとうございます」

その様子を見ていた茜ちゃんがぼそりと呟き、パシャリと写真を撮った。

「Aちゃん、イケメン女子...」
「え？」
「なんでもない」

拓人くんの掛け声で練習が再開し、今度は雷門チームを二分して簡単なゲームをやることになった。ゴールキーパーは三国先輩と天馬くん。天馬くんはキーパー経験があり、次の試合でも出場する可能性があるので選ばれた。キーパー姿の天馬くんはどこか頼もしくて、格好良い。試合が始まり、ピアニシモを打つも、化身を出した天馬くんに止められてしまった。なかなか手強い。相手チームの剣城と向かい合い、ボールを競り合う。上手く躱されてしまった。追おうとした時、拓人くんから制止された。

「A！深追いはするな！」

そうだ、自分のポジションにいなきゃ。少人数チーム同士の試合では、一人のポジションの範囲が広がる。ポジションが被ると、その分ピッチ上に空白ができて、相手に攻められやすくなる。危なかった。拓人くんは本当に周りをよく観察しているな。すごいや。