桜前線 2【GO】 (ページ35)

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82　vs ゼロ [1] ページ35

サンドボードの特訓は続く。後方に倒れそうになった時、寸前のところで剣城に腰を支えてもらった。おかげで砂塗れにならずに済んだ。

「ありがとう」
「いえ」

寡黙だけど、時に喋る。気を許してくれた時は会話できるのだが。

サンドボードもだいぶ板についた。爽やかな風を全身に浴びるのは気持ちいい。余裕をもてるようになると、失敗ばかりの頃に比べてサンドボードに乗るのがぐんと楽しくなる。今では空き時間にすいすいと乗り続けている。みんなでレースもした。

試合当日、とうとう敵地に乗り込む。ゴッドエデンスタジアムでは、絶えず過酷な特訓をさせられている光景が広がった。命の危険がありそうな現場だった。会場に入ると、観客席からは鳴り止まないフィフスコール。そして、囚われた葵ちゃん。助けずに帰るなんて、そんな選択肢はない。試合が始まると、彼らのチーム・ゼロには手も足も出なかった。拓人くんが化身を出すと、対抗して白竜も化身を出した。

「地面滑っとるー!?!?!!?!?」

思わず目を見開く。化身にはこんな力の使い方があったのか。あれじゃまるでスケボーに乗っているみたいだ。しかし彼の足元にはスケーボーはない。一体どういう原理で滑っているんだあれは。化身同士の神々しい戦いに唖然とする。こんなのサッカーじゃないって。いやほんと。化身バトルだよ。雷門とゼロの化身能力者のぶつかり合い。自分のような化身をもたない選手はただ見ることしか、彼らの間に入らないことくらいしかできない。化身は3対5。しかも、相手は化身コントロール力に長けている。圧倒的に不利だ。

「格の違いを思い知れ！」

ドッジボールの素早いボールを避けられるこの私が、ゼロからのリンチを避けられない。なんたる屈辱。シュウに動きを見切られ、白竜のパワーに負けてしまう。

「そういえばお前は女子だったな。これ以上痛めつけるのはやめてやろう」
「な...」

女だから、と差別された気分だった。私は白竜からボールを奪い取ろうとするも、寸前で躱される。しかし、諦めずに立ち向かい、ボールを奪い取れた。狩屋から学んだことがここで活かせた。

「ほう」
「私だって、雷門の一員だから！！」

全力で天馬くんにパスをする。ボールを受け取った天馬くんは化身を出した。しかも、進化している。羽が大きくなったことで、天馬くんの風がさらに力を増した。