78 みんなでカレー作り ページ31
ギリギリまで相手の体力を削ってから捕獲するというのは、ポケモンと似ている。私たちはまさに彼らにとって、捕獲して従順にさせたいポケモンというわけだ。しかし、突如救世主が現れた。私たちは円堂監督たちに助けられたらしい。洞窟の中で、大人たちが私たちに向き合っている。
「怪我はないか？」
「円堂監督！」
「おいおい、今の監督は鬼道だぞ」
元イナズマジャパンの数名が集まっているらしく、一同は目を輝かせた。どうも大人の彼らは有名人らしい。フィフスセクターは少年たちをこの島に閉じ込めて無理に特訓させている可能性が高く、彼らはその調査をしているという。ある時、隣からお腹の鳴る音がした。信助くんが恥ずかしそうに俯いている。
「そろそろ飯にするか！」
「そうだな。お前ら、昼から何も食べてないんだろ？」
「みんな、今夜はカレーっスよ」
「「「カレー！！」」」
円堂監督たちが持ってきてくれた食材を使い、皆で手分けしてカレーを作ることとなった。一から火を起こす係、お米を炊く係と、具材を切る係、調理係に別れる。不動さんの指示と手際が良すぎて驚いた。飯盒炊爨なんていつぶりだろう。小学生の時にキャンプでした時以来かも。みんなで協力して、一つの料理を作り上げていくのは楽しい。車田先輩と連携して具材を切る。まな板が二つしかないので、同時に具材を切る人数は限られる。
「佐倉、じゃがいもとにんじん頼む！俺は玉ねぎと肉切るぜ」
「はい！」
「ウー！目が染みる。天城、そのゴーグル貸してくんねえか」
「わかったド」
「あ！今俺手ぇ使えねえから、掛けてほしい」
じゃがいもの皮は普段スライサーで除いているので、包丁でとなると難しい。苦戦していると、三国先輩が見かねて手伝ってくれた。
「最初のうちは4分割してから剥いた方がやりやすい。慣れてくると、そのままでもこうやって剥けるようになるぞ」
「おお〜」
「やってみろ」
4分割、そして剥く。あ、やりやすい。
「上手いじゃないか。その調子だ」
「はい、ありがとうございます」
拓人くんはエプロンを巻き、お米を炊く準備をしている。エプロンは不動さんから貸してもらったらしい。不動さんの用意の良さに驚く。ふと視線を移すと、なぜか円堂監督が炭だらけになりながら、霧野くんとともに火起こしをしていた。今使っているのは薪なのに、なんで炭だらけなんだろう。
「円堂監督！薪の追加持ってきました！」
「でかした天馬、信助！こっちに置いといてくれ」
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年1月19日 13時
