桜前線 2【GO】 (ページ30)

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77　神の楽園の洗礼ページ30

誰かに揺さぶられて起きた。水鳥ちゃんが目の前にいた。

「おっ。よかった。神童！Aも無事目ぇ覚ましたぜ」
「そうか、わかった。みんな！これで全員揃ってるか」
「監督と顧問、マネージャーがいないな」
「おそらく鬼道監督たちは奴らの手の中だ。ここは通称ゴッドエデン。神の楽園という名をもった地獄だ。シードを生み出すための訓練施設がある孤島だ」

剣城によると、この島の訓練施設では尋常ではない特訓を課せられるらしい。彼がここにいたのは僅かな期間らしい。ここはシードが来るのを恐れるほど過酷で特別な島だという。その時、突如として戦車が現れ、可憐な花々を荒らしていった。

「せ、戦車ァ...!?」

これから戦争が始まるのかと思いきや、そういうことではないらしく、牙山という訓練場の長が出てきた。ポーズといい、羽のような襟といい、どこから突っ込めばいいのかわからない。これは一体どういう状況なんだ。

「この合宿で君たちが目指すものは、フィフスセクターの専属選手・シードだ。ホーリーロードでの活躍、見せてもらった。中々のものだ。しかし、残念なことに、君たちは少年サッカー法第5条に背き続けている。よって君たちには我々フィフスセクターによる教育を施すことが決定された」

少年サッカー法なんてものがあったんだ。第5条というのは、もしかしてフィフスセクターという名称の由来なのかな。そんな気がする。拓人くんは猛抗議するも、牙山とかいう人は決して聞き入れなかった。驚くことに、突如地面が動いた。地下施設が現れる。いや、地下グラウンド？急に危ないじゃないか。落ちたらどう責任取ってくれるんだ。というか、規模がヤバい。この設備にどれだけお金かかってるの。ありえん。

地下グラウンドの中央には少年たちが立っていた。彼らはアンリミテッドシャイニングというチームらしく、これから戦うことを強制された。キャプテンの白竜は剣城と知り合いらしい。威圧感を放つキャプテンは私の方に顔を向けて数秒眺めていた。

「ほう、女子選手か。面白い」

試合が始まると、その圧倒的な力の差を知った。あの白竜とかいう人のシュートが異次元。ミサイルみたいなシュートを打ってくる。防ぎようがない。次元が違う。錦くんでも剣城くんでも敵わない相手がいたなんて驚きだ。あの少年がシュートを放つ度に暴風が巻き起こる。凄まじい風に押し潰され、気づけば立てなくなっていた。