桜前線 2【GO】 (ページ29)

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76　突然の遠征ページ29

試合から数日後。雷門中サッカー部は今日も朝練に励んでいた。

「ねえ狩屋、今のどうやってやったの？」
「別にこうやって、こうするだけっすよ」
「才能〜」

狩屋のボディバランスが羨ましくて、本人に直接教えてもらっていた。目の前で逆立ち歩きをしながら喋っているのを見ると、本当に凄いと思う。ただ感嘆しながら眺めるしか自分にはできない。

「先輩はまず体幹鍛えなきゃ。基本中の基本ですよ」
「どうやって練習したらいい？」
「こんな感じですね」

軸足を決め、反対側の足を前後左右に動かす。これが結構難しくて、ふらつく。これはバランスが安定していないということらしい。

「鬼道監督の練習メニューも良いと思います。スクワットとか」
「へえー」

ふと周囲を見ると、なにやら理事長と鬼道監督が揉めていた。拓人くんや三国先輩など中心的人物も側にいる。深刻そうな雰囲気。

「なにかあったんすかねー」
「さあ」

近くにはバスが停まっている。なんか怪しい。

「強化合宿!?」

拓人くんの声で、皆が集まりだした。

「俺たちも行きましょ」
「うん...」

強化合宿ってどういうことだろう？

「コホン。君たちには強化合宿を兼ねた遠征に出てもらいます。出発は今すぐに！です」
「今!?」

今はホーリーロードの真っ最中。しかし、遠征はフィフスセクターからの指示らしい。授業が公欠になるのかが少し気がかりだけど。理事長が円堂監督の話を出すと、雷門中サッカー部一同は一転して遠征に乗り気になった。倉間くん、速水くん、浜ちゃんは雷門に残り、それ以外のメンバーで向かうこととなった。バスに乗車し、隣の席の天馬くんと話す。

「化身出すってどんな感覚なの？ちょっと想像できなくて。大変そう」
「正直俺にもよくわかんないです。なんていうか、化身が出る時ってなんか、ピカ〜って光るっていうか。カ〜ッて熱くなるっていうか。あー、よくわかんないや」
「うーん？」

「そういえばね、最近天馬くんのドリブルの練習、私もしてみたんだ。3,3,3ができるようになったよ！」
「ええっ！すごい！あれ結構難しいのに」
「天馬くんの動きを何度もチェックして真似たの。私にとってドリブルの師は天馬くんなんだから」
「ええ〜！嬉しいです」

そんなことを話していると、だんだん眠たくなってきた。睡魔に抗えず、そのまま目を閉じた。