73 vs 木戸川清修 [1] ページ26
試合当日。ホーリーライナーに乗り、木戸川清修の選手たちと対面しながら時が過ぎる。気まずい。視線の行き場がない。どこを見ればいいのかわからない。木戸川の人とよく目が合うし、なんかオラオラ系の人に睨まれてるっぽい。ただただ気まずい。このホーリーライナーを設計した人のセンスを疑う。試合前の相手と向き合い続けるのは中々な苦行である。あと、なんか綺麗な女性が端に座っている。あの人はアフロディという名前らしい。さっき鬼道監督が言っていた。アフロディって、アフロディーテ？女神の名をもつというのに、名前負けしない顔面なのは普通に凄いと思う。
全国大会三回戦の舞台は、ウォーターワールドスタジアム。海の上に木の板が乗っている簡素な作り。足場は結構しっかりしている。先発メンバーのFWが発表され、剣城くんと私が選ばれた。倉間くんと輝くんはベンチだ。すると、倉間くんに肩をポンと叩かれた。
「頑張れよ」
「うん、行ってくる」
剣城とツートップか。剣城くんのプレーについていけるかな。緊張してきた。大舞台に二連続出場。決してミスはできない。というか、なんで私が選ばれたんだろう。相手は4-3-3。えーっと、戦術メモチェック。なになに...4-3-3(中盤V字型)は前にかける人数が多いので、攻撃パターンが豊富にある。難易度が高いので、選手の能力が高いことは前提にある。ウィングの高いドリブル能力が必要。そして、こちらは4-4-2(中盤ダイヤモンド型)。司令塔を活かすフォーメーション。攻撃的でも守備的でもない。2トップの初動が遅れやすい。
この情報を踏まえて考えると、攻撃的な相手の布陣に対して、こちらの布陣はあまり有効でない気もする。守備的な布陣にすべきではないだろうか。と、素人の私は思ったりした。鬼道監督はきっと拓人くんに司令塔としての活躍を期待しているのだろう。鬼道監督も昔は司令塔だったと聞いている。ある時、横からメモを覗き込まれた。
「それは？」
「戦術メモ。たっくんの真似」
「細かく書かれているな」
「この前ゲームメイクの練習したのを機に、戦術に興味もったんだ」
「へえ。すごいじゃないか」
木戸川清修は雷門が一度負けた相手らしい。雷門サッカー部一同はみんな緊張の顔を浮かべながら、目をギラギラとさせている。特に3年と2年。
74 vs 木戸川清修 [2]→←72 イナズマジャパンの試合映像
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年1月19日 13時
