72 イナズマジャパンの試合映像 ページ25
イナズマジャパンの試合映像がスタートすると、木戸川清修の試合映像を観る時よりも全体的な注目度が上がる。
「ジ・エンパイア戦か」
「ジ・エンパイア戦？」
よくわからないので聞き返すと、私に髪を弄られている一乃くんが丁寧に教えてくれた。
「10年前のアルゼンチンとの試合だよ。ジ・エンパイアはそのチーム名」
「イナズマジャパンが唯一負けた試合だよな」
「そうだド。あれは厳しい試合だったド」
なぜか皆はその試合のことに詳しかった。サッカーをする以上、常識なのかもしれない。画面の中で、選手がぐるぐると回転して昇っていく。というか、火出てる火。消火しなくていいのか。えっ、みんな当たり前な顔で画面見てるけど、あれが普通なの？
『 爆熱スクリュー！ 』
「ボールから火出てる、怖」
「あれが豪炎寺さんの必殺シュートです！豪炎寺さんは伝説のストライカーなんですよ！」
「へー。その人は今なにやってるの？」
「俺も知りません。でも、活躍してるんだろうなあ。あ。で、豪炎寺さんはファイアトルネードが有名なんですけど、他にも様々な必殺シュートがあるんです、爆熱ストームもいいですよ」
急に天馬くんがペラペラと語り出した。オタクか？
「俺がサッカー始めたきっかけは、多分豪炎寺さんなんです。豪炎寺さんと決まった訳じゃないけど、そんな気がします。小さい頃、あの力強い炎のボールに助けられました。そのボールには稲妻マークが描かれていたので、雷門の選手だと思って、この学校に入学しました」
「へえ！そうなんだ」
「豪炎寺さんは雷門！って感じの選手ですよね」
すると、距離を置いて佇んでいた剣城くんが一言補足した。
「たしかに豪炎寺さんは雷門にいたが、元々は木戸川清修の選手だ」
「えっ！そうなの？剣城、詳しいね」
「別に」
天馬くんが感心している。ここは豪炎寺オタクの集まりなのだろうか。ジ・エンパイア戦とかいう試合に興味をもったので、家に帰ってからも観ることにした。データは茜ちゃんから貰った。青髪の選手に意識が向く。
「このキャプテンの人、慣れてなさそうだな」
イナズマジャパンは全体的にドタバタしているような印象。円堂監督の姿はなかったけど、どこか見覚えのある姿はあった。
「あれって、もしかしてヒロトさんかな」
若い頃ってあんな感じだったんだ。オーラがあって格好良いけど、血色が悪くて心配になる。途中から拓人くんが合流したので、一緒に映像を眺めた。
73 vs 木戸川清修 [1]→←71 木戸川清修の試合映像
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：充滞 | 作成日時：2024年1月19日 13時
