桜前線 2【GO】 (ページ23)

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70　FW組ページ23

「ンン〜！！ン、ンー！！」

ドリンクを飲んで休憩する剣城くんに見下ろされる中、歯を食いしばって両膝を曲げて腹筋する。

「剣城くんッ、厳しい言葉...かけて頂戴ッ！！」
「...厳しい言葉ですか？」

すると、意外と乗り気になったようで、自分の足先で屈み、意地の悪い顔をして見下ろしてきた。腹筋をする度にその顔が見える。剣城くんってあんな表情するんだ。

「そんな簡単な腹筋も熟せないようでは、レギュラーには程遠いですね」
「ッ...ッ、.........ッ!!」
「チームのお荷物になりたいんですか」
「な、りたくないですッ!!」
「なら、頑張らないといけないですよね」
「はい、ッ!! その通りですッ!!頑張り、ます!」

そんな私たちのやり取りに対して、呆れたように見てくる倉間くん。

「それ何のプレイなんだ？」
「トレーニングの、ッ一環!」

同じFWということもあり、剣城くんとは親しくなった。何がきっかけでそうなったのかは覚えていないけど、過酷な基礎体力作りを通して自然とそうなったと思う。距離が縮まったのは剣城くんだけなく、倉間くんや浜野くん、三国先輩も同様だ。今では浜野くんを「浜ちゃん」と呼んでいる。三国先輩は優しくて、いつもアドバイスをしてくれる良い先輩だ。輝くんに応援されながら腹筋を続ける。輝くんマジ天使。

「先輩！もう少しです！頑張ってください！」
「ウーッ、ウウウウウーー」

腹筋辛すぎて涙出てきた。いや、涙か汗かわからない。汗をタオルで拭きながら剣城くんが見下ろしてきた。

「今何セット目ですか」
「11」
「15セット終わったら、俺の練習に付き合ってください」
「オッケー」

私なんかが剣城くんの役に立てるとは思わないけど、必要とされているのなら喜んで。倉間くんは私に背を向け、輝くんに声をかけた。

「影山、あっちでシュート練するぞ」
「はいぃッ!!」

輝くんは倉間くんのフォームを日頃よく見ている。たしかに倉間くんのプレーは参考になることが多い。輝くんの観察眼は大したものだ。一度見たものをすぐに実践できるという、並ではない能力をもっている。天馬くんや狩屋くん含め、1年組は全体的に優秀だ。私も負けていられない。頑張るぞ。みんなと一緒にこの革命を成功させるんだ。