桜前線 2【GO】 (ページ22)

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69　鬼道監督の練習メニューページ22

円堂監督の去った雷門中サッカー部では、鬼道監督によって新たに厳しい練習が始まった。たとえ女子であろうと、基本の練習メニューは皆と同じであった。サッカーボールは一切使わず、基礎トレーニングが始まった。

「まずは腕立て。それからスクワット、腹筋、ダッシュ。全ていいと言うまで繰り返せ。始め！」

Switchのリングフィットでスクワットをしたことがあるくらいで、ガチのトレーニングをしたことがなかったので最初は面食らった。走り込みでは、いつも最後尾。途中でギブアップしそうになるも、皆頑張っている中で挫けたくなかったので、気合いで乗り越えた。私はこの雷門中でもっとサッカーやるんだ。ここで諦めたら、絶対後悔する。何度も心に誓った。ハードルを往復して飛び越え、タイヤを引いて走り、バランス感覚を養い、グラウンドを何周も走る。走りすぎて、もう何周走ったか忘れた。キツい。休んでいる暇など与えられない。喉が乾く。鬼道監督が以前まで指導していたという帝国学園の練習もこんな感じだったのかな。練習というよりかは訓練。毎日ボロボロになって帰る生活が続く。疲れすぎて、帰り道はいつも無言だった。

「...」
「...」

おいしい筈のご飯に味を感じない。全身が疲労している。信助くんたちが離脱するのもわかる。

基礎体力が一番高いのは錦くん。拓人くんと剣城くんも高い。そんな彼らの背中を負いながら、最後尾で狩屋くんと一乃くん、青山くんと共に走る。狩屋くんはたしかに柔軟性やサッカーのセンスはあるが、基礎体力があまりないらしい。

「ちょ、Aセンパイ、もうギブすか。ッハァーっ、ハッ」
「ッハ...狩屋くん、だって、息切れて、るじゃん、ハーッ、ハーッ」
「俺は、まだまだ、やれますって、ハーッ、ハーッ、」

先頭に追いつけずに途中で立ち止まると、鬼道監督に指摘された。

「お前たち！遅いぞ！」
「「ハイ！」」

横腹が痛い。水飲みたい。休憩ほしい。動かない体を頑張って動かす。限界にはとうに達している。

「先輩のせいでっ、怒られたじゃないですかッ、ハーッ、ハーッ」
「こっちのセリフッ！！ハーッ、ハーッ」

基礎体力を作るため、部活外でも朝のランニングを始めた。早朝、愛犬と散歩をする天馬くんや、葵ちゃんとすれ違うことが日常となった。練習が本格化するにつれて、毎週水曜日の練習が休みにくくなった。ヒロトさんと都合が合わなくなり、彼とのサッカー練習は一旦幕を閉じることとなった。