桜前線 2【GO】 (ページ19)

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66　vs 白恋 [2] ページ19

最初に突破口を見つけたのは狩屋くんと霧野くんだった。スパイクの縁で滑ると良いらしい。なるほど、今までは重心をかけるのは前か後ろかしか考えていなかった。スケート靴は縦に刃がついているから、左右に傾けるという発想自体がない。そんなことをしたら転けてしまう。しかし、今履いているのはスケート靴ではなくスパイク。縁か、早速やってみよう。あ、滑れる。すごい。こうすれば滑れるのか。滑れるようになると楽しい。想像以上にプレーの幅が出る。

それに対抗するように、白恋中は必殺タクティクスを繰り出して来た。あれが例の技か。雷門は完成したタクティクスで対抗し返すが、見破られてしまった。2点失ったままハーフタイムを迎え、ベンチで休憩した。まさかベンチも全て氷で作られているかと思ったが意外とそうではなく、その点は良心的だった。そして、絶対障壁を崩せない理由が鬼道コーチによって語られる。

「ダブルウィングだが、松風のパスはスピードが足りていない。だから見破られ続けているんだ」

後半戦になり、遅れて合流した錦くんがダブルウィングに参加しても成功しなかった。絶望的な状況に立たされる。もし、私に能力があれば、みんなの役に立てるのに。俊足と突破力を兼ね備えているのは、現段階で剣城くんと天馬くんしかいない。そう思った時、輝くんが立候補した。

「僕、できる気がします！」

輝くんは有言実行し、ダブルウィングは完成した。壁は突破した。あとは打つだけ。突破した衝撃でこぼれ球が出たのに目をつけて、私は相手に気づかれないような位置から気配を消してシュートを打った。

「ピアニシモ」

シュートは無事決まった。ちょうど輝くんが前にいたから、不意を突けた。

「今のは危なかったな」
「佐倉先輩が拾ってくれたおかげで、なんとか点を取り返せました！」

よかった。このシュートがみんなの役に立った。自分のポジションに戻る時、神童くんが声をかけてきた。

「やりましたね。流石Aさんです」
「えへ」

雷門が勢いづいたのを見て、白恋中が新たな選手を投入してきた。彼によってキーパーの三国さんが負傷したので、天馬くんが代わることとなった。イタリア留学から帰国し合流した錦くんが加わったことで安定感が増し、雷門は逆転勝利を収めた。

しかし、円堂監督がある事情で雷門を立ち去ることとなった。