桜前線 2【GO】 (ページ17)

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64　司令塔の難しさページ17

放課後にサッカー部に行くと、すぐさま囲まれた。昼休みの練習を見られていたらしい。

「鬼道コーチたちとサッカーやってるとこ見たぞ。なあ、どんな練習内容だったんだ」
「俺もその場にいたかった〜ぁ」
「佐倉さん、なにか指示出してましたよね」

練習内容を話すと、一部の部員はひどく羨ましそうな顔をしていた。本当に貴重な経験だった。個人的には、円堂監督と吹雪さんの接戦を見れただけでも大満足だ。お金を払って観たいレベルだった。図書館でサッカーの本を借りてから、部活後に神童くんとともに家に帰った。今日のことを話すと、ゲームの詳細を聞かれたので答えた。

「借りたこの本を見ると、スイッチって方法もあったんだなあって思ってさ」
「スイッチの場合はボールを渡すタイミングが重要ですね。早くパスをすると悟られてしまいますから」
「そっか。うーん、指示って難しい」
「でも、良い経験になりましたね。俺もその場にいたかったです」
「うん、みんなからそう言われたよ」
「昼休みでも頑張って練習しているAさんだからこそ、チャンスが訪れたんだと思いますよ」
「そうかな」
「チャンスは受け取る準備をしている者にしか掴めないですから」

神童くんも今までいろんなチャンスを得てきて、実力を高めてきたんだろう。神童くんはゲームメイクが人一倍上手。神のタクトがそれを証明している。大局を見極め、選手に指示を出す司令塔。今回の件でゲームメイクに関心をもつとともに、神童くんの凄さを改めて認識した。