桜前線 2【GO】 (ページ16)

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63　ある昼休みのことページ16

朝練や部活動の練習だけでは物足りず、昼休みも練習した。ある日、一人でドリブルの練習をしていると、吹雪さんたち3人の大人が立ち止まってこちらを見ていた。

「おー！佐倉、練習か！張り切ってるな！俺も混ざっていいか？」
「えっ。はい」

円堂監督が滑り降りて来て、向かって来た。しばらく小競り合いした後、円堂監督にボールを取られてしまった。しかし、今度は吹雪さんが現れ、円堂監督のボールを奪った。吹雪さんは私にパスを出す。ボールを受け取った。すると、さらに今度は目の前に鬼道コーチが立っていた。

「そうだな。折角の機会だ、ゲームをするとしよう。1対3、円堂対俺たち3人だ。円堂は全力でボールを取りに来い。佐倉は俺たちに指示を出し、上手く使え。先に2点取れた方が勝ちだ」
「それは良いアイデアだね。ゲームメイクの勉強にもなる」
「私、ゲームメイクのこと全然知らないですけど、いいんですか」
「構わない。こういうことは経験で学んでいくものだ」

なんて貴重な機会なんだろう。まさかプロ級の選手に指示を出してゲームメイクする機会を貰うなんて。こんなことになるなら、ゲームメイクの勉強をしておくんだった。鬼道コーチが合図を出すと、円堂監督が向かってきた。私は圧倒され、すぐに吹雪さんにパスを出した。今度は円堂監督が吹雪さんの方に向かう。二人のボールの奪い合いは拮抗していた。このままだと円堂監督にボールが取られてしまうかもしれない。

「コーチ、ゴールへ向かってください！」

鬼道コーチは指示通りに前へ進んだ。私は吹雪さんに合図を送り、ボールを受け取る。このまま鬼道さんにボールを渡せば、スムーズにシュートを打ってもらえる。そう安堵した瞬間、円堂監督にボールを奪われた。円堂監督の目が段々本気になってきている。そのまま1点取られてしまった。

「1対3なのに、1点取られた...」
「今のは佐倉が後ろに下がりすぎたな。前に出ていれば勝機があった」
「前に出ていた鬼道くんに指示を出せば、ワンツーパスで突破することもできたね」
「なるほど...」

最近図書館でサッカー用語については調べていたから、オーバーラップやワンツーパスについてはなんとなく知っていた。しかし、それを実践するとなると難しい。ましてや指示となるとさらに難しい。段々慣れて来て、ようやく2点取ることができた。昼休みはあっという間に終わったが、本当はもっと続けたかった。