60 好きこそものの上手なれ ページ13
「狩屋はどう思う？」
「うーん。どかーんジャンプとか？」
「「「「.........だっさー！！！」」」」
狩屋くんはネーミングセンスが壊滅的だった。そうなると、ある疑問が浮かんでくる。
「ハンターズネットは格好いい技名だけど、それは自分で決めたの？」
「いや、俺じゃなくてヒロ...＿知り合いがつけてくれました」
「へー」
ショートケーキおいしい。苺をフォークに突き刺して口に含むと、狩屋くんがぽつりと呟いた。
「先輩って、苺から先に食べるタイプなんですね」
「うん。なんとなく」
「ふーん」
天馬くん、信助くん、葵ちゃんは3人で今日の試合について盛り上がっている。私たちはそれを黙って聞いていた。ケーキを食べ終わった狩屋くんは手持ち無沙汰な様子だったので、話しかけた。
「狩屋くんは、なんでそんなにサッカーが上手いの？」
「俺ですか？別に上手くなんかないですよ。サッカーは好きでしているだけなんで」
「十分上手いよ。私も練習してるんだけどさ、狩屋くんみたいに上手くできないや」
「この前先輩がプレーしてるとこ見ましたけど、反射神経良かったですよ」
「そ、...そうかな」
嬉しい。反射神経については、浜野くんに褒められたことがあった気がする。
「ヒロトさんとの練習で鍛えられたんですか」
「うん。狩屋くんはヒロトさんと暮らしてるんだっけ」
「俺、孤児院で暮らしてるんですけど、そこの経営しているのがヒロトさんなんです」
「えっ。そうなんだ」
狩屋くん、孤児なんだ。初めて知った。
「ホーリーロードは女子も出れるんですよね。先輩って、次の試合には出るんですか」
「ううん。みんなの足引っ張りたくないから、出るつもりはないよ」
「足を引っ張るとか、別にそんなこと誰も気にしてないと思いますけどね」
狩屋くんは淡々と言った。
「ピアニシモ、結構良い必殺技だと思いましたけど」
「ほ、ほんと!!?」
「うわっ、突然大きな声出さないでくださいよ」
天馬くんたちと目が合う。どうやら話を聞かれていたらしい。
「先輩、選手になりませんか。俺、先輩と一緒にプレーしたいです」
「んー...でも、公式試合は責任が重すぎてちょっと...。それに、サッカーはじめたてだし」
「そんなの関係ないですよ。俺たちもカバーしますし」
「私もマネージャーとして精一杯サポートします！」
「みんな...。わかった。ちょっと考えてみる」
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年1月19日 13時
