桜前線 2【GO】 (ページ12)

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59　vs 月山国光 [3] ページ12

狩屋くんの活躍は止まらない。機敏なディフェンス、そして状況を掴むのが早い。利用できる竜巻にいち早く目をつけ、竜巻を通して天馬くんにボールを渡した。竜巻に飛び込んでボールを得られるのは天馬くんだけだ。シュートした先には倉間くんがいた。青山くんが声を出す。

「シュートチェインだ！」

驚くことに、天馬くんの必殺シュートに対して、倉間くんは更に必殺シュートを放った。普通はシュートにシュートをすると、前のシュートの威力が無効化されそうなものだが、どうもそうではないらしい。私の知る世界の原理はこの世界では当てはまらない。不思議だ。シュートは威力が上がり、月山国光から見事一点をもぎ取れた。それからも狩屋くんは粘り強く相手に立ち向かう。何度も、何度でも。それを見て、霧野くんはぽつりと言った。

「どうして」

唖然としていた。信じられないような顔をしている。グラウンドの上で見るのと、ベンチから見えるのとではやはり違って見えるのだろうか。試合は難航していた。竜巻が出なくなり、月山国光が新たなフォーメーションで挑んできたからだ。それに対し、霧野くんが分析をした。彼によると、攻略の鍵は狩屋くんだという。

「俺ならタイミングを見切ることができます。俺が指示を出します」

霧野くんがフィールドに戻ってからは好転し、同点となった。一度は月山国光の勢いが落ちるも、南沢という選手が起点となり、今度は白熱した試合が始まった。どちらも譲らない熱い戦い。最後は雷門の見事な連携で剣城にパスが渡り、化身でのシュートが決まった。ホイッスルが鳴り、試合終了となる。雷門は勝利した。素晴らしい試合だった。

スタジアムから出て、雷門中の駐車場で皆がバスを降りる。神童くんの一声で解散した。その時、天馬くんから声をかけられた。

「先輩！今日初戦突破のお祝い会するんですけど、よかったら来ませんか？」
「えっ。お祝い会？」
「狩屋も来るんです！秋ねえ手作りのケーキも食べれますよ！」

狩屋くんか。少し話してみたかったんだよな。甘いものも食べたい。

「じゃあ、行かせてもらおうかな」
「わかりました！葵〜！先輩来るって！」

天馬くんは葵ちゃんのもとへ駆けていった。神童くんに帰りが遅くなることを伝え、普段とは違う方向へ歩いた。