103 vs 新雲学園 [2] ページ7
同点で迎えた後半戦。輝くんが真っ直ぐに進んでいった。猪突猛進のように周りを見ないプレーではなく、しっかり計算されたプレー。輝くんの学習能力はピカイチだ。ベンチから見ていただけで、こうも流砂を扱い尽くしているのはもはや恐ろしい。天馬くんが抜かれた。どうする。雨宮くんがどんどん抜いていく。4人も抜いた。速い、追いつけない、追いついてはいけない。自分のポジションを守らなければ。信助くんならきっと止められる。そう思った矢先、雷門は失点した。
雨宮くんは攻撃をしつつ、天馬くんを阻んでいる。天馬くんに執着しているように見える。天馬くんとサッカーすることでなにか答えを見つけようとしているような、そんなプレー。移動が激しい。雷門へ攻撃して、新雲を守る二役を熟している。さらに、化身を長時間出しながら走り回っている。体力の消耗は激しいはずだ。彼の隙を狙い、ボールをカットする。
(いける...！)
そう確信した直後、雨宮くんが目の前に現れた。な...抜いた筈なのに。雨宮くんの意思の強い目が迫りくる。それでも私は前を向いて走り続けた。剣城にボールをつなぐ。天馬くん、剣城、拓人くんの三名が化身を合体させ、力強いシュートを放った。
ピピピーーーッ！！！
雷門は勝利し、決勝進出が決定した。その時、凄まじい歓声が私たちを包んだ。地区大会に比べると、観客からの注目度の違いや大会の規模感をひしひしと生身で感じる。その時、背後でドサっと鈍い音がした。ふと振り向くと、砂の上で拓人くんが倒れていた。
「たっくん？」
しばらくその場から動けなかった。拓人くんの周りに人が集まっていく。驚く声、小さな悲鳴。途端に慌ただしくなった様子をただ見ることしかできなかった。
嘘。
「救急車を呼べ」
「は、っはい！」
「すぐにだ！！」
鬼道監督はすぐに指示を出した後、拓人くんに何度も声をかけて意識を確認していた。
「神童、大丈夫か？」
しかし、なんの返答もない。だらんと力が体から抜けている。呼吸はありそうだ。救急隊は驚く程にすぐに来た。救急車が来て、拓人くんを乗せ、さらに同乗者として鬼道監督が乗る。私たち雷門の選手もこれからバスで搬送先の病院へ行くこととなった。
「佐倉さん、大丈夫？」
ハッとして見上げると、音無先生が心配そうに見ていた。両肩も支えられていた。
「突然のことだけど、神童くんの無事を願いましょう」
「...はい」
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充滞(プロフ) - ビジュさん» イナイレ小説の作者様にそう言っていただけて嬉しいです！永劫回帰など拝読しております。コメントありがとうございます！ (2月22日 20時) (
レス) id: a229a1ca73 (このIDを非表示/違反報告)
ビジュ(プロフ) - 丁寧な試合シーンの描写に引き込まれました…！作者さんのサッカーの豊富な知識も伝わってきてすぐに虜になりました！お身体に気を付けてご自身のペースで頑張って下さい( ꈍᴗꈍ) (2月22日 18時) (レス) @page23 id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月15日 20時
